また岐路に立った北朝鮮の核問題 李春根/自由企業院副院長 (2008.1.3)
2008年新年が明けた。2007年2月13日以後、根拠のない楽観論が支配した北朝鮮の核問題の解決に関する展望は、2008年になったこの時点でまた悲観的な方向へ戻ろうとしている。まず、北朝鮮は、昨年12月5日ブッシュ大統領が親書を送り年末まで核に関する全てのことを誠実に申告しろとの米国側の要求を事実上断った。
前回のコラムでも触れたが、北朝鮮が申告した核施設が「誠実な」申告かどうかの可否は、米国が判断することだというところに問題の核心があり、北朝鮮の悩みがある。アメリカは、北朝鮮のウラニウム濃縮プログラム(UEP)の保有疑惑、シリアへの核拡散疑惑などを率直に申告するように要求する反面、北朝鮮はこの二つを米国側の根拠のない中傷だと主張してきた。米国は、(平壌側に)UEPの推進事実を「告白」し、またUEPのために導入したアルミニューム管や遠心分離機などをどこに使ったかを明らかにせよ、との立場だ。反面、北朝鮮は核兵器開発のためのUEPは進めたことがないから申告書にUEPを含む必要がないと主張する。結局、北朝鮮がウラニウム濃縮プログラムを申告すればした内容で、また申告しなければしなかったことで問題は拗れることになっているのが現在の状況だ。
2008年の現時点で、もう一度考えて見ると、北朝鮮(政権)は核を放棄する意志があまりないことがより確実である。より正確に言えば、北朝鮮の金正日政権は核を放棄した状況で政権の安定的な維持ができると信じていない。我が国をはじめ、米国の洞察力のある分析家たちは、北朝鮮の核の問題を北朝鮮の政権の問題として考えた専門家がすでに何人もいた。結局、北朝鮮の核問題は北朝鮮の政権の問題である。北朝鮮政権の「登録商標」のような「先軍政治」、「強盛大国」という特異な政治体制を維持するため核兵器は必須的要素である。北朝鮮の核問題を解決するための前提は、北朝鮮の政治体制が強盛大国、先軍政治、反米主義なしでも存続できるそのような政治体制でなければならないというわけだ。
だから、(米国が)体制を保障してくれれば北朝鮮は核を放棄するだろうという主張はむなしい卓上理論に過ぎない。米国は今の北朝鮮政権の主体思想、社会主義、独裁政治の体制を保障してあげる方法がない。体制と政権の維持は、北朝鮮の国民が判断、決定する問題で、外国が何とかできる問題でない。ひょっとするとアメリカが北朝鮮の金正日体制を助けるために大々的な援助を展開するとしても、その場合も今の北朝鮮式の社会主義体制が生き残りにくいだろうという事実がジレンマの源泉だ。反米主義を放棄した北朝鮮政権の持続も想像し難いことだ。「主思派」(主体思想派)が主体思想を非難し始めたらもはや主思派でありえないことと同じ話だ。
米国は、北朝鮮がすべての核プログラムを放棄する前には北朝鮮と幅広い関係改善を推進しないことを明確にしたし、北朝鮮もやはり12月5日の朝鮮中央通信を通じ「私たちはアメリカが朝・米関係を本来の状態(敵対状態)に追い込んで行っても、都合が悪いことがない」と発表もした。このような口頭非難が交わされているが、北朝鮮の核問題を解決するための米国の本質的な立場は、ここ数年の間変わったことがほとんど無かった。米国は北朝鮮の技術が動員されたシリアの原子炉建設を爆撃で解決し、北朝鮮の武器を積んだ北朝鮮の船舶が発見されれば撃沈してしまうことも躊躇しなかった。米国は外交と軍事を常に併行させている。ただし状況により、どちらの方がより大きく見えたのかが違っただけだった。
北朝鮮との交渉で約束時間が守られないのは一度、二度ではないが、昨年の12月末まで誠実な申告を求めた米国の要求はひとまず拒絶された状態だ。これを契機にコンドリザー・ライス(Rice)米国務長官の警告のように「重大局面」(crucial step)が来る可能性も排除できなくなった。
2007年の韓国大統領選挙で、政権交替に対して否定的立場を保ってきた北朝鮮は、韓国に新政府ができる度に、彼らなりに(新政府を)てなづけようと試みてきた以上に、韓国の新政府をテストするだろうし、そのテストの強度は金大中政権の時より強いものかも知れない。金大中政権のときは、北朝鮮は数十人以上の死亡者が発生した西海海戦を挑発した。
北朝鮮の核問題はまた現実として戻ってきている。去年の2月13日の(六者協議の)合意以後の根拠のない楽観論の基礎が崩れている。北朝鮮政権が核の放棄を決断したはずだということと、アメリカの対北朝鮮戦略が完全に変わったという楽観論などがそれだった。この楽観論が今また現実的に疑われ始めている。同時に北朝鮮の核問題はまた岐路に立ったのである。 |