金総書記は米国に何を望んでいるか① 連載52回 北朝鮮へ誤解多い。ミサイルはいつでもやめる。 五味洋治 (2011.3.22) この連載の最後に、金総書記がアメリカの高官と交わした対話録を掲載することにしたい。米国の特使としてはカーター元大統領やクリントン元大統領が北朝鮮を訪問しているが、対話の内容は公開されていない。 いずれも米国人救出という緊急事態だっただけに、実務的な話題だけで終わっていたからだろう。 その点、2000年に実現したオルブライト国務長官との対話は、多くの場所で公開されている。この時米朝関係はもっとも密接な時期を迎えていた。米国も北朝鮮の国交正常化を念頭に置いていたとされる。北朝鮮側も米国との関係改善に強い期待を抱いていたのは間違いない。 対話は2000年10月に平壌で行われた。同元長官の著書「MadamSecretary」に記録されている。当時の新聞は、金正日総書記はこの本に収録された以外の発言もしたと報道している。たとえば、元長官に「電子メー ルアドレスを教えてほしい」と頼んだなどである。 そのため、この本には、全てが載っている訳ではないようだ。未公開のままにされたり、逆に本の中に掲載するのが見送られた部分があるのかもしれない。 この本に出てくる金総書記の発言、考え方は、今も変わっていないと思われる。 2000年10月23日 オルブライトと金の階段は和気あいあいとしたものだった。オルブライトがクリントン大統領から金日成死去を悼むメッセージと米国からの人道支援について伝えた。金は「もし双方が純粋で真剣なら、われわれができないことはない」 オルブライトは北朝鮮のミサイル輸出に触れ、クリントン大統領の訪朝の前提として、ミサイル輸出を減らすように要請した。金はシリアへの輸出を認め、「輸出は金のためだ。もし補償が約束されるなら、中断できる」 さらに金は「輸出はただ外貨稼ぎのためではない。われわれは軍に自主独立のため武器を与えている」 「もし南朝鮮が500キロを射程に入れるミサイルの開発をやめるなら、われわれもやめる。もう配備してあるので、造る必要はない。査察は受け入れないが、製造をやめることはできる。ソ連邦の崩壊から10年が経ち、中国の開放によって、両国との軍事同盟関係がなくなった。軍は装備の現代化を求めている。もし、南朝鮮との対決がなければ、武器は意味がない」 |