北朝鮮の非常事態と米国の役割③ 連載51回目 緊急事態の論議の歴史(米政策研究機関「外交評議会」レポートその3) 五味洋治 (2011.3.22) 外交評議会のレポートをさらに読んでみる。 統一準備 北朝鮮が崩壊し、独立国家としての未来が疑わしくなってくると、主要関係国は、統一朝鮮の創設と最終地位にかかわる別の関連する課題に徐々に軸足を移すだろう。米国にとって、地域の安定性を高め、経済統合とルールに基づいた貿易を進め、民族自決と人権を推進するという国家安全保障上の幅広い目的に沿って再統一を促進することは、最も重要なことである。 無視できない中国の反発 中国は、北朝鮮への影響力を維持しようとして、新しい指導部との間で良好な関係を築こうとするだろう。これにより、他の関係国、特に朝鮮半島に対する中国のもくろみを疑問視する韓国との間に対立が生じる可能性がある。 中国は、朝鮮半島の統一に直面して、あらゆる手だてを尽くして、朝鮮半島の利権を守り、推進する方法で構造を形成するだろう。何よりもまず、米国が一時的にでも北朝鮮の国境近くに軍事基地を設置することや、軍を駐留させることを妨害するに違いない。もう1つの大きな目標は、北朝鮮の核兵器 その他の大量破壊兵器を確保して安全に廃棄することである。経済を深刻な混乱に陥れ、多額の財政コストを招き、最終的に中央政府からの自立を要求する朝鮮系移民の数が急増する難民危機を食い止めることも、重要な優先課題である。 最終的に、中国の対応は、国家の長期的な政治と安全保障の利害関係だけでなく、越境貿易と投資、特に主要インフラ開発プロジェクトを大幅に拡大するなどの重要な経済的目標も念頭に置いて計画される。 日本の役割 日本は、朝鮮半島に対する日本の影響力を再び主張するのではないかという中国と韓国の恐れを静めながら、資源を提供して韓国を支援し、微妙な均衡を維持しなければならない。その成果として、開放的な貿易関係の形での経済成長、安定、北朝鮮の天然資源の利用拡大などが考えられる。 安全保障と安定米軍の責任 米軍には、北朝鮮の大量破壊兵器計画によってもたらされた脅威を取り除く、すなわち国外に流出する前に兵器、原料、技術を発見して押収する上で、より直接的な役割を果たすよう求められる。 一般的には、政治、人道、経済の問題に対処する前に、安全保障と安定を確立することが必要だと考えられる。500万人もの北朝鮮国民が兵役に就いており、独裁体制が60年にわたって続いていることから考えて、これは簡単な作業ではない。 これまでの経験によると、穏やかな状況における安定化作戦に必要な兵員数の目安は、人口1,000人あたり5~10人程度である。北朝鮮の人口は約2,300万人であるため、作戦を成功させるには11万5,000人~23万人の兵員が必要となる。また、基礎的な作業で軍を支援するために、数万人の警官も必要となる。米軍は毎日の安全保障作戦に直接関与しないかもしれないが、輸送任務、指揮・統制・通信・情報インフラ、人道援助物資の配給、難民の本国送還などの形で重要な支援を提供することができる。 米国国防科学委員会の調査によると、暴動状態では、1,000人当たり20人の占領軍が必要となる。つまり、イラクでの米軍の兵員数の3倍以上に相当する460,000万人の兵員が、暴動発生の北朝鮮には必要な計算となる。 |