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北朝鮮の非常事態と米国の役割①
連載49回目 米外交評議会のレポート
五味洋治
(2010.12.27)

 

    米政策研究機関「外交評議会」は2009 年1月に北朝鮮の金正日体制の終結を想定した報告書を発表した。

 

    この中には、関係国が北朝鮮をどう見ているか。緊急事態の際の危機管理、南北統一、国家の立て直しに向けた対応などがまとめて書かれている。原文は70ページに及び、日本語訳もある。これは私が自分なりに論点を抜き出し、内容を整理し、見出しを付けた。

 

    http://www.cfr.org/publication/18019/preparing_for_sudden_change_in_north_korea.html

 

    要約

    北朝鮮は核兵器国家、そして弾道ミサイルシステムの輸出国家として、長い間、米国にとって重大な拡散の懸念対象であった。大量の長距離砲とミサイルを保有する世界最大規模の兵力を配備する北朝鮮は、多数の米国人が居住し、大規模な米軍が駐在し、米国にとって最も重要なアジアの同盟国である韓国と日本に打撃を与える能力を有する。

 

    さらに、北朝鮮は、中国とロシアという2つの大国と国境を接する。両国は、北朝鮮が絡む将来の危機に積極的に関与してくるだろう。 北朝鮮発の大規模な危機が起これば、重大な緊張が生まれ、各国間に摩擦が生じる可能性がある。

 

    特に中国は北朝鮮に親米的な政権を推進しようという動きを主権国家の国内問題への干渉であり、中国の国益に対する挑戦であると見なすだろう。 北朝鮮の状況が悪化すれば、これらの摩擦の原因がさらに拡大する。食糧などの基本的必需品を巡る激しい権力闘争が平壌で起これば、数万人から数十万人の難民が北朝鮮から逃げ出す恐れがある。

 

    中国は、国境が比較的開けており侵入しやすいことから、難民がなだれ込む可能性が高い。中国人民解放軍(PLA)は、人道的任務、平和維持任務、「環境管理」任務のため、北朝鮮に介入する非常事態計画を策定したと言われている。

 

    米国は、北朝鮮の核兵器などの大量破壊兵 器の安全保障と安全に対して切実な懸念を抱いており、そのために一方的な行動に出る可能性もある。 そのような行動は、中国は言うまでもなく、韓国との関係も悪化させかねない。 中国は、北朝鮮をできる限り独立国として維持する状況を望んでいる。その目標を守りきれなくなったら、中国は、戦略的深度、地域的影響力、経済的安定の維持など、自国の重要な国益を守ろうとして、米国および韓国と対立することになるだろう。

 

    このため米、日、韓さらに中国を加えた非常事態への協議が必要になる。

 

    金正日総書記が脳卒中を患い、3男後継が決まったことで緊急事態に向けた論議はさらに重要になるはずだが、現実には進んでいない。