英語熱② 連載45回目 カナダ留学が流行 五味洋治 (2010.11.15) ワシントンに本部のある対北朝鮮ラジオ放送・ラジオフリーアジア(RFA)は、地の利を生かしてカナダと北朝鮮の関係について数々のレポートをしている。2008年6月26日の放送によれば、北朝鮮は敵対する米国の隣国、カナダに留学生を増やす動きを見せていた。 米国、カナダ、香港に事務所を置くELIC(EnglishLanguageInstituteinChina)https://my.elic.org/は1980年代初め米国で設立された非営利英語教育機関で、中国を中心にモンゴルとラオス、カンボジア、ベトナム、ミャンマーなどに北米地域英語教師を派遣する事業を展開している。北朝鮮にも英語教師の派遣を行っている。 北朝鮮に対してELICは、カナダから英語教員を送っているが、その数と勤務先などは「敏感な問題」だとして明らかにしていない。 派遣される英語教師は、カナダ国籍のボランティアメンバーで構成されている。 北朝鮮で数ヶ月単位で短期間滞留しているという。 最近ではELICが、北朝鮮の学者と専門家たちをカナダに招請しているということだ。 北朝鮮は、カナダに対してトロント内に北朝鮮英語教員らのための「英語講習所」の設立を提案するなど、英語に関する教育と訓練にカナダの助けを要請していると、カナダの非政府機構関係者らは話している。 ELICからの招請を受け、北朝鮮からカナダ入りした北朝鮮の学者や専門家たちは、カナダ・バンクーバー周辺の大学や研究機関で研修を受けるという。 2009年5月にもラジオフリーアジアは、カナダからの英語支援を伝えた。 英語を習うためにカナダに派遣された北朝鮮学生たちがカナダの家庭で寄宿しながら、カナダ教育機関が用意した英語研修プログラムに参加しているという。 この事業の中心になっているのは、やはりELICでこの年の4月末、カナダ人で構成された5~6人の英語ネーティブスピーカー教師団が北朝鮮で、3週の日程で平壌の大学教授と英語教師たちを対象に英語教育法と英会話を教えるようにした。 この団体の担当者ゲリーロシ氏は"ELICは2000年代中盤から北朝鮮当局の要請により非定期的に英語教師を派遣してきたし、北朝鮮当局が指定した学生と専門家たちをカナダで招請して、英語研修をさせてきた"と説明した。 英国政府は北朝鮮に対する英語ネーティブスピーカー教師派遣事業を2008年に終了する予定だったが、前年末北朝鮮側の要請により2010年まで延長するようにして派遣教師の数も増やした。 カナダの非政府機構(GAIN:GlobalAidNetwork)も去る2005年以後中断された英語ネーティブスピーカー教師派遣事業を、北側と合意により2009年に再開。平壌金星学院のコンピュータ班学生たちを教える教師たちを北朝鮮に送る予定だ。 2004年に平壌で英語を教えた経験のあるカナダの英語教師ジェイク・プルロ氏はRFAとインタビューで"北朝鮮のエリートらは国際社会に追いつくためには、英語が必須という認識を確実に持っている、北朝鮮当局も英語教育と海外留学を積極的に推奨した"と話した。 カナダ移民当局(CitizenshipandimmigrationCanada)が自由アジア放送に公開した統計資料によれば、カナダ内北朝鮮留学生は2003年以前には5人未満で2004年には10人、2005年には5人、2006年には14人だった。今は更に増えているだろう。 カナダ移民当局のノリース(DanielleNorris)広報官はカナダ移民当局の統計が把握している北朝鮮留学生らは、中国内カナダ領事館を通して学生ビザの発給を受けたり、中国で学生ビザの発給を受けた後、カナダでビザ期限を延長した場合だけを反映しているとし、彼らは朝総連系ではない北朝鮮人だろうと推定していると同放送の取材に答えた。 一方カナダは、北朝鮮脱出住民(脱北者)に対しても手厚い対応をしている。 子供のいる家族には一カ月、830ドルを生活費として給付しているそうだ。 カナダは2001年に北朝鮮と国交を樹立し、カナダ政府の資料によると、北朝鮮との貿易額は06年から3年連続で増加。 09年の輸出額は約2600万ドル(約21億円)で品目別では化学製品と金属がそれぞれ約3分の1を占める。同年の輸入額は約13万ドル(約1050万円)となっている。 北朝鮮はカナダから化学製品、金属、食料品など多品目を輸入しているが、2010年3月の哨戒艦沈没事件を契機に、カナダは外交関係を大幅に制限するとともに貿易、投資、技術移転を禁止する包括的な独自制裁を実施すると発表した。 投資や金融サービスの提供や技術、データの移転も禁じる。北朝鮮籍の船舶や航空機がカナダ領内に入れないようにする。人道支援は例外扱いとしている。 英語支援はなんとか続きそうである。 出典 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0526&f=politics_0526_003.shtml 連載44回目 ソフト外交は英語から? 連載46回目 北朝鮮国籍の留学生増加 |