「88年が生産の最高水準」 経済当局者から北朝鮮経済の話も聞いた。 当面の目標は「かつての生産水準を突破すること」だ。この「かつて」は1988年だという。20年前が生産のピークで、いまだにその水準を下回っているということだ。 2007年のGDPは163億6000万ドル、一人当たりのGDPは638ドル。質問をして確かめたが、88年の国民一人当たりのGDPは2530ドルだったという。この数字はかなり大きく真偽は定かでないが、「20年ほど前が一番高かった」と率直に認めたことに驚いた。それにいまだに最高水準の四分の一という数字にも驚く。苦難の行軍はいまだに続いているようだ。
経済落ち込みの原因として、90年の冷戦終結によるソ連からの原油供給ストップで「石油や重油を燃料としていた工場の多くが止まった」と言う。そして(その後の90年代の第一次核危機による)経済制裁をあげた。 経済当局者は言及しなかったが、89年に平壌で開いた青年学生祭典もその一因ではないか。過去最多の参加国を記録した88年のソウル五輪に対抗して行われたもので、世界各地の青年学生を招待したため、巨額の経費がかかった。かねて北朝鮮経済の混迷の引き金になったといわれていたが、それを裏付ける数字でもある。独裁体制強化を狙っての「神格化」「偶像化」のための巨大建築物、各種行事も民生経済を圧迫したはずだ。
経済当局者は、「強盛大国」建設の2012年には「過去の最高水準を超える目標を達成するめどがついた」と自信のほどをみせた。そのためには、大雑把に計算しても08年から12年まで20%以上の経済成長が必要だが、これは大変な数字だ。 今年の具体的目標は、今年の共同社説で打ち出した「人民生活の向上」。このため軽工業と農業に重点を置いている。 軽工業では、日用品の生産を増やし質の向上を図る。日用品は400種増やし、靴の生産は昨年比1.5倍。また平壌穀物工場や平壌メリケン粉加工工場など食品加工部門でCNC(コンピュータ数値制御)化が進み、加工品種が増えた。 |