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米国NGOの支援 歴史と狙い⑥
連載42回目 結核の実態
五味洋治
(2010.10.25)

 

    ユージンベル財団によれば、「援助を始めたのは、北朝鮮側からの要請があったため」という。北朝鮮では大きな病院に行くと必ず「結核科」があり、結核患者を隔離治療する施設も各地にある。

 

    結核はすでに過去の病気かというとそうではない。

 

    世界では、総人口の約3分の1(20億人)が結核に感染しており、毎年800万人が新たに発病し、200万人が命を落としている。その多くはアジア地域をはじめとする開発途上国で発生している。また、HIV感染者の増加が結核のまん延を加速させるなど、深刻な問題となっている。

 

    北朝鮮でどれだけの人が罹患しているのかは不明だが、北朝鮮の人たちは体力に劣っているため、感染すれば拡大が早いのは間違いない。

 

    結核を含む北朝鮮の衛生状況について、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が今年7月、報告書を発表した。
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA24/001/2010/en

 

    報告書は、ここ数年間に脱北した40人余りの住民や同国で勤務経験のある医療関係者らからの聞き取りを基にまとめられた。

 

    それによると、1990年代以降、同国が宣伝している「無料の医療制度」は事実上崩壊した。検査や手術にわいろが必要となり、基本的診察でさえ見返りとして医師に酒やたばこ、食料を渡さねばならない。

    北朝鮮では結核患者が激増している上、麻酔なしの手術や注射針を消毒せずに使い回すなど、深刻な実態を明らかにしている。

 

    食糧事情も危機的で、非政府組織(NGO)によると、結核感染も「爆発的」に増え、人口の5%に達していると推定される。世界保健機関(WHO)によると、北朝鮮では2007年に、1万5千人が結核感染がもとで死亡した。