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ハンバーグ店、イタリア料理店、遊園地…(北朝鮮旅行記・4)
岡林弘志
(2010.10.20)

 

    平壌には、さまざまな商店が営業しているが、「米帝」の象徴であるハンバーガーショップやイタリア料理店もあった。また、こぎれいなレストランもある。カラオケもなん軒かあるようだ。しかし、これらはかなり突出した部分で、一般の生活を知るうえでは参考にならないだろうが、メニューに書かれた値段も含めて紹介しよう。

 

    ハンバーガーは168ウォン

    まずは、レストラン。

    予想以上にうまかったのは「大同江麦酒」だ。製造を始めてあまり日時がたっていないようだが、オランダだったかどこか欧州の会社との提携だそうで、すっきり味で、前からあった「龍城麦酒」よりも格段と切れがいい。大同江の近くには「大同江麦酒」の直営レストランがある。

 

    ここでは「大同江麦酒」の生ビールも飲むことができる。値段は、すべてユーロで書いてある。内国人用には別のメニューがあるようだ。中ジョッキ一杯は1ユーロ。店員に聞いたら現地通貨では140ウォン。(ホテルのカウンターに表示してある外貨交換表によると、1円=1.138ウォンだから、大ざっぱにいいて円とウォンはほぼ同じとみれば、わかりやすい)一杯約140円というのは、旅行者にとっては非常に安い。

    ちなみに、キムチ盛り合わせ3ユーロ、カルビ15ユーロ、「総合プルコギ(焼き肉)」35ユーロ、カルビタン5ユーロ、ユッケジャン3ユーロなど(いま1ユーロ=約115円)。
 

 

レストランのメニュー

 

ハンバーガーショップ(平壌市内)のカウンター

    何年か前に、金正日総書記の指導で、ハンバーガーショップが営業を始めたという報道があった。案内人に頼んでおいたら、案内してくれた。

    カウンターは長さ3メートルほどか。例のごとくその上には写真入りのメニューがある。ハンバーガーを注文すると、油を通さない紙に包んでくれる。飲み物は紙コップだ。この包み紙は中国語が書いてあるので中国製、紙コップはふたのプラスチックにカタカナで「プラ」という印があるので日本製だろう。フライドチキンには、薄いビニールの使い捨て手袋が付いてくる。

    われが入ったときには、地元の若者が3組ほど来ていて、4人組の青年は昼時と言うのに焼酎を飲みながらハンバーガーをぱくついていた。女性ばかりの3人組もいて賑やかに話していた。
ハンバーガー168ウォン、コーラ56ウォン。

    イタリア料理店は、2年前を皮切りに平壌市内に4件ほどあるそうだ。

    我々が行ったのは、ビルの中で、店内には階段があって2層になっているなかなかしゃれた造り。「接待員」は黒のTシャツとパンツでオレンジのジャンバーをはおり、しゃれたいでたちだ。

    ピザ500-900ウォン、スパゲッティ300-500ウォン、ちなみに大同江麦酒100ウォン、キリンビールもあって200ウォン。
味もまあまあ。同行者の中には、この値段でこの味ならめっけものという評価も。

 

しゃれた造りのイタリアレストラン店内

    カラオケは美形ぞろい

    今回、一度のぞいてみたかったのがカラオケ。20年前もホテルの中にはあったようだが、行く機会がなかった。

    最初に行ったのは、平壌駅の近くだったと思う。入口にはローマ字で「カラオケ」、朝鮮文字で「画面伴奏音楽場」と書いたネオンが付いている。カラオケボックスのようになっていて、6人ほどで行ったら、3人の「接待員同志」がついた。膝上だが、ミニスカートの紺の制服を着て、なかなかの美形でスタイルもよく、歌も踊りもうまい。横へは座らないが、前へ座って、つまみを客の口へ入れてくれたりもする。

    もう一軒のカラオケでは従業員は4人ほどいたが、チマチョゴリの女性は一人。一緒に歌ってもくれる。

 

    いずれも、北朝鮮の歌と日本の歌謡曲は置いてある。韓国、南朝鮮の歌はないか聞いたところ、ないという。ただ、曲名集を見ていたら、韓国の懐メロがあった。「涙にぬれた豆満江」「荒城の跡」、また古くからある童謡の「故郷の春」なども。リクエストすると、ちゃんと曲が出てきた。

    接待員に聞くと、これは朝鮮の昔の歌だという。確かにそうだ。韓国では懐メロとして今に歌い継がれているが、北朝鮮では分断後、長い間、歌われなかったはずだ。2000年代の韓国の「太陽政策」の時代に韓国人が大勢来たので、接待の必要から緩んだのかもしれない。

 

    一番多いのは、もちろん北朝鮮の歌だ。「接待員」も積極的に歌い、中には腰を振り振りというかなりきわどいダンスも。客を舞台に呼んで一緒に踊るなど接客も堂にいったものだ。曲調は人民を鼓舞するために勇ましく行進曲風が多く、乗りやすい。また、南北統一をテーマにした「統一アリラン」「われわれは一つ」「統一の虹」「統一列車は走る」などもよく歌われる。これも「太陽政策」の余波かもしれない。

    ただ、画面に出る歌詞をよく見ると、金父子を讃える内容が圧倒的。「首領様を永遠にいただいて生きよう」「将軍様と共に前進を」「将軍様に従えば幸せに」などという言葉も次々に出てきて、「酒を飲みながら歌って恐れ多くはないか」ともおもったが、いつも厳しい案内人同志も唱和していたので、いらぬ心配のようだ。

    値段は、ビールと渇きもののつまみで、6人で150ユーロ。一人2000円ほどか。外貨稼ぎの一つだろう。 

    平壌市内の凱旋門近くにある「凱旋青年公園」も見学した。

    北朝鮮でもっとも最新の遊園地。初めからスケジュールに入っていたので、外国人にも見せたいところなのだろう。1984年に開園した。もちろん金日成主席が祖国に凱旋し、演説を行ったといわれる場所にちなんで命名されている。

 

同公園に遊びに来ていた小学生

 

凱旋青年公園の遊具「軌道回転軸」を楽しむ人たち

    最新式の遊具が取り入れられたのは、今年の6月だそうだ。金正日総書記の現地指導で、世界の子供と同じように楽しめるように、イタリアなどから遊具を入れた。ジェットコースターで不規則に回転しながら猛スピードで進む遊具は世界で3機しかないという。このほか40メートル上から垂直に落ちるのや大勢の人が載った大きな円盤が傾斜しながらぐるぐる回るのなど、おなじみの遊具が設置されている。

    われわれが行ったのは週日の夜8時ごろ。結構にぎわっている。係員に聞くと「いまは慶祝すべき時だから」という。労働党65周年の祝賀ムードのようだ。

    各遊具には行列ができ、乗った人たちは嬌声をあげ、遊具の周りには親や一緒に来た人たちが遊具の動くたびに大騒ぎ、この辺りはどこでも同じだ。 

    このほか「電子娯楽館」も人気。ゲームセンターだ。ゲーム機が20数台並び子どもたちが群がっている。この道に詳しい同行者によると、すべて日本製だそうだ。「電気自動車」コーナーもあって、ここにはなぜか若い兵士が集団で並んでいた。

    入園者の中は、団体が多そうだったが、なかには男が軍服姿のアベック、軍服の女性兵士の三人連れや酩酊気味のおじさんも。

    毎日5000人ほどの入場者があるという。

 

同公園内の電子娯楽館前で並ぶ人たち

 

電子娯楽館でゲームを楽しむ子どもたち

    営業時間は午後7時から12時まで。「なぜ昼間やらないのか」と聞いたら「昼間はみんな学校へ行ったり働いたりしているから、来る人がいない」のだそうだ。冬季、11月―3月の間、遊具は作動させない。

    入場料は20ウォン、各遊具の利用料は20-50ウォン。外国人の入場料は1ユーロだという。

    遊園地前の凱旋門に通じる広場には、屋台が何軒も出ている。是非寄りたいと行ったが、案内人は「みんなが楽しんでいるところなので邪魔しないでください」と却下。 

    平均月収は2000~4000ウォンか

    ここに記したさまざまな価格は、外国人から見るとかなり安い印象を受けるが、問題は現地の労働者の収入がどれほどかである。

    何人かに聞いたが、残念ながらあまりはっきりしない。平均月収などの統計はないのかもしれない。ある工場では、「約15000ウォン」と言う。聞き返すと、これには福利厚生も含めての平均だそうで、労働者が手にするのはいくらか聞くと「6000ウォンか7000ウォンか」とはっきりしない。本当ならかなり高い方だろう。

    ある博物館の説明員に聞くと、「事務職でこうしたところや各部(省庁)などで働く人たち」(いわゆる公務員)の月収は「2000-8000ウォン」。1万ウォンもらう人は「知らない」という。経済当局者によると、「農民は年収20-40万ウォンぐらい。炭鉱労働者はもっと高いはずだ」という。

    韓国統一省は、市民の平均月給を2000-3000ウォンと推計、という報道を最近見た。さまざまな数字から推測するしかなさそうだ。 

 

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