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米国NGOの支援 歴史と狙い⑤
連載41回目 ユージンベル財団はなぜ成功しているか
五味洋治
(2010.10.18)

 

    NGOと北朝鮮の間は「不信、緊張、誤解に彩られていた」(ゴードン・フレーク 「PAVED WITH GOOD INTENTION」 15P)

 

    そんな中で、北朝鮮に結核の薬を送っているユージンベル財団は、支援物資の管理、情報公開という点で優れた実績を挙げている。

 

    会長のリントン氏は、朝鮮半島に4代にわたって住みついた宣教師家庭出身で、1995年米国で人道支援、非営利機関のユージンベル財団を創立し、対北支援事業に取り組んできた。

 

    その後、50回以上北朝鮮を訪問している。ハーバード大学・韓国学研究員としても活動している。流ちょうに朝鮮語を話す北朝鮮の専門家である。

 

    ちなみに奥さんは韓国人で、日本のテレビ朝日のソウル支局で勤務経験がある。

 

    毎年2回、この財団の人たちが北朝鮮に入り、地方の病院に薬を届ける。3か月かけて車道もない北朝鮮の奥地まで薬を運んで、直接患者に手渡している。

 

    現在も北朝鮮保健省と協議し、平安道、平壌市、南浦市など30カ所あまりの地域の結核関連機関を担当し、継続的に支援している。

 

    薬は小型の箱に入れられている。外側には寄付者の名前が書かれており、その箱を患者に渡すシーンを撮影して、支援者に公開する。さらに毎回訪問時には、大口の寄付者を同行する。

 

    報告書は英語と朝鮮語版があり、寄付の様子を撮影したDVDも公表している。

 

    リントン氏に、ワシントンの事務所で話を聞いたことがある。目の前は米国の連邦議会である。

 

    韓国にもユージンベルの事務所はあるが、米国から支援物資を送る時には議会へのロビー活動が欠かせないため、わざわざここに事 務所を 置いているという。

 

    リントン氏はこう話した。

 

    北朝鮮ではどんな田舎に行っても、北朝鮮の人たちはごちそうで歓待してくれる。フルーツも出てくる。「それなので、本当の食糧事情は分からない」。

 

    「気分的にちょっとつらくなるときもある。北朝鮮の人たちは、我々に感謝の手紙を書く人が全くいない」と会長はいう。「北朝鮮が、国外に手紙を書くのを厳しく制限していているためだ」

 

    ユージンベルは他の対北朝鮮支援財団と違い、民間からの寄付に3分1を頼っている。

 

    リントン氏は自分の活動を寄付のための講演に当てている。

 

    「日本に事務所をつくるのは、税法上も難しそうだ。それに日本では、北朝鮮への支援は反発が大きい。しかし、こういう窓口があれば、北朝鮮と国交を結んだとき、よい窓口になる」と話していた。

 

    財団のホームページ http://www.eugenebell.org/

 

    北朝鮮の核問題の影響や、不景気の影響も受けるが、募金額は一定しているという。

 

連載40回目 突然の中断、撤去要請

連載42回目 結核の実態