米国NGOの支援歴史と狙い③ 連載39回目 飢餓の専門家 五味洋治 (2010.10.4) 私は2008年から09年にかけて米ジョージタウン大学に通っていた。北朝鮮問題を米国の視点から見るためだった。ここで教える教授に飢餓の専門家がいる。アンドリュー・ナチオス氏といい、日本では訳書も出ている。「北朝鮮飢餓の真実なぜこの世に地獄が現れたのか?」(扶桑社)というタイトルだ。核問題や、北朝鮮のロイヤルファミリーをテーマとしたものではない。彼が米国のNGOで働いていた時の分析が土台となっている。 知り合いが会いに行ってみては、というので、メールを出したら「会いましょう」と返事が来た。 部屋に行くと食事を買って食べるところだった。「失礼だが食べるよ」といって袋を開けた。海苔巻きで、おしょうゆとわさびを付けてたべ始めた。 細身で白い髭を生やしていて、典型的なエリートという感じ。昔NGOで働いていたとは思えない鋭利な印象だった。 いったん話し出すと、「質問はなんだ」と矢継ぎ早に聞かれ、とまどってしまったが、要するに彼が言うには、北朝鮮の飢餓の原因は配給制の崩壊が原因。なぜかわからないが都市部ではなく、農村地帯で飢餓が広がっている。どんどん深刻化するだろう。 肥料が韓国から行かなくなったことが理由だろうと話していた。 今は特に現地調査をすることはなく、新聞と韓国からの電子メール、米国政府からの情報などで分析をしていると話していた。 最近はスーダンの特使に選ばれたが、その後辞任して、教職についている。今でも北朝鮮問題には関心を寄せており、関連の集まりには顔を出している。 彼の本の中に、中国がなぜ北朝鮮に支援を行うかが書かれている。まずは、北朝鮮で飢餓が発生すれば、中朝国境に反乱や人民の蜂起が起きる可能性がある。 すると、国境地帯には各国のNGOが集まり救援活動を行う。多くのジャーナリストが取材に来ることも考えられる。軍事バランスの崩壊、それによる紛争の発生も危惧される。 こういったリスクを避けるため対北朝鮮支援を行ってきたが、支援の内容は「石やトウモロコシの穂軸、ネズミのかじりかけなどが混入したひどいものであった」(221p)としている。 さらに中国は、食糧の配布先について「北朝鮮に一任した」と説明していたが、実は「軍部が反乱を起こさないようにしっかり食べさせ続けろ、と伝えていたのである」(222p)。中国が国際機関を通じない形で食糧援助をしているのは、軍の安定化が狙いだった。これは重要な指摘である。 連載38回目 最初の出会いも水害 連載40回目 突然の中断、撤去要請
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