米国NGOの支援 歴史と狙い① 連載37回目 水害で米国の民間団体に支援依頼 五味洋治 (2010.9.27) 1990年代に起きた北朝鮮の水害と飢饉では、200万人が餓死したとも伝えられる。それをきっかけに、米国のNGO(非政府組織)が北朝鮮に 入り、本格的に支援活動を行うようになった。しかし、人道支援は、北朝鮮側のかたくなな態度によって、たびたび中断させられる。これは米国の市民 が味わった、初めての本格的な北朝鮮体験と言われている。 一方で、米国政府は、いかに北朝鮮との関係が悪化しても、人道支援だけは続けている。敵対する国とも幅広いチャンネルを維持することは、今の日本にとっても示唆するところが大きいと思われる。簡単に実情を紹介してみる。 現在、米国から北朝鮮の食糧支援に当たっている団体は以下の5つである。 World Vision(ワールド・ビジョン)、Samaritan's Purse(サマリタンズ・パース)、Christian friends of Korea(クリスチャン・フレンズ・オブ・コリア)、Mercy Corps、Global Resource Services(グローバル・リソース・サービス)。北朝鮮に結核の薬を送っているユージンベル財団もある。 ワールド・ビジョンは貧困、災害、紛争に苦しむ子どもたちを支援する国際NGO。Mercy Corps は国際的な救援・開発機関で、新興国でインフラストラクチャの建設に携わっている。すでに100カ国で、支援のために13億ドルを提供している。 グローバル・リソース・サービスは、1997年設立され、北朝鮮を重点的に援助しており、2010年まで北朝鮮内10カ所を対象に、10の病院 を援助する事業を進めている。 クリスチャン・フレンズ・オブ・コリアは米スタンフォード大学と協力して北朝鮮・平壌に国立結核標準研究所を建設した。今年5月初旬から全面稼 動している。研究所はさまざまな治療剤に耐性のある多剤耐性結核菌(MDR-TB)を研究できる北朝鮮初の機関で、クリスチャン・フレンズ・オ ブ・コリアが2008年から建設をサポートしてきた。 北朝鮮側も、米国のNGOには意外なほど頼っている。 8月下旬以降に集中豪雨で大きな被害を受けた北朝鮮は「クリスチャン・フレンズ・オブ・コリア」に支援を求め、同団体側も、ホームページで「北朝鮮側事業パートナーが洪水被害の深刻さを訴え、食料、医薬品、建設資材などを最大限支援してほしいと要請してきた」と明らかにした。 北朝鮮はこれまで自力での水害復旧を進め、国際社会に支援を要請しなかった。民間団体ではあるが、外部に支援を求めたのはこれが初めてという。 この後北朝鮮は、韓国にも援助を求めている。 連載36回目 日本の単独制裁 連載38回目 最初の出会いも水害 |