現代コリア

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中国はテロ支援国家
佐藤勝巳
(2010.7.12)

 

    国連安全保障理事会は、7月9日(現地時間)韓国哨戒艦攻撃を糾弾する議長声明を、全会一致で採択した。

    要旨は、

    ①韓国哨戒艦攻撃を非難する。

    ②問題の平和的解決に向けて、事件に責任を負うものに対する適切かつ平和的な対応を呼びかける。

    ③北朝鮮が沈没に責任を負うと結論付けた韓国などによる合同調査団の調査結果を考慮し、安保理は深い懸念を表明する。

    ④北朝鮮などからの、事件と無関係と主張する反応に留意する。

    ⑤よって安保理は哨戒艦沈没を引き起こした攻撃を非難する。

    ⑥安保理は韓国に対する、あるいは地域における、さらなる緊張や攻撃を防ぐことの重要性を強調する、

    などというものである。

 

    韓国哨戒艦「天安」を魚雷攻撃で撃沈したことが国連安保理にかけられると、上記のごとく最も重要な誰が攻撃したのかに触れない文書となる。なぜこんな訳の分からないことになるのか。犯人は金正日政権と書くことに、常任理事国の中国が執拗に反対しているからだ。

 

    中国は昨年、国連が金正日政権のミサイル発射と核実験に対し、制裁を科す時も日、韓、米の正しい制裁要求に対し、今回と同じように反対をした。よって中国は世界中から、テロ集団をかばい続けているテロ支援国家、または金正日政権と同類と見られていることを自覚していないようだ。

 

    なぜ、中国が金正日政権をかくも執拗にかばい続けるのか。中国が日、韓、米に同調したら、金正日政権は崩壊する。すると北朝鮮から難民が中国領に入ってくる。さらにポスト金正日政権が反中国になる可能性があり、安全保障上難しい問題が発生する。中国共産党は、平壌の政権が交代しても、親中国政権が出来る工作を続けているであろう。 この文脈から9月上旬の朝鮮労働党代表者会議で何が論議されるのか、非常に注目される。

 

    他方、金正日であるが、政権延命のために中国をいかに利用するかという、虚々実々の駆け引きをしている。両者の力関係は、中国に中朝国境を1週間閉められたら金正日政権は確実に崩壊する。だが、それが出来ないようにしているのは金正日のしぶとさである。わが国がこの政権から学ぶことがあるとすれば、このしぶとさであろう。

 

    北朝鮮外務省報道官は、9日の国連議長声明を受けて、10日国営の朝鮮中央通信に「平等な6カ国協議を通じ、平和協定締結と非核化を実現するための努力を一貫して続ける」と、実に人を喰った発言を報道した。外交的勝利というニュアンスがにじみ出ている。

 

    韓国哨戒艦を魚雷で撃沈、50名近い韓国軍人の命を奪い、名指しで糾弾されることも、制裁を受けることもなく、「6カ国者協議」「平和協定の締結」「非核化の実現」などと厚顔無恥にうそぶいている。李明博大統領は、金正日の正体を直視すべきではないのか。

    アメリカは、国連の議長声明が出された同じ7月9日、第七艦隊所属の原子力空母ジョージワシントンを、横須賀から出港させた。行く先は、中国の報道によれば、朝鮮半島の西、黄海で、韓国と合同演習を実施するためだという。この空母には約70機の戦闘機などが搭載されている。第七艦隊に配備されているイージス艦は9隻。搭載されている巡航ミサイルは2000発を超える。

 

    中国軍幹部は、この演習が中国領の目と鼻の先で行なう「軍事的挑戦」と、非難し続けている。しかし、アメリカに文句を言う前に、哨戒艦を撃沈した金正日を事前に押さえれば、黄海にジョージワシントンは入る必要がないのだ。やはり中国は「テロ支援国家」と言われても仕方あるまい。

 

    国連などに頼って、金正日の手を縛ることは出来ない。今回の米韓の合同演習は、武力を信奉する金正日政権と胡錦濤政権に対し、再び同じことをやったら、どうなるかをリアルに認識させることである。国際政治は武力を背景に動いているのであって、会議で動いているのではない。

 

    民主党菅直人政権は、この度の韓国哨戒艦撃沈をめぐるー連の国際的な動きから、「駐留なき安保」などという観念論が、いかにナンセンスなものかを学習して欲しい。