制裁⑬ 連載34回目 抜け穴 キューバへの経済制裁の教訓 五味洋治 (2010.3.24) 過去米国は中国やベトナム、リビア、イランなどに単独で厳しい経済制裁を科してきた。 しばしば取り上げられるのが、米国に近接したキューバへの制裁だ。 1960年10月に、アイゼンハワー大統領がキューバへの輸出を中止、キューバ産サトウキビの輸入も禁止した。 キューバのカストロ首相(現国家評議会議長)が自国内の米国資産を国有化したことに対する対抗措置だった。サトウキビはキューバ経済を支えており、全体輸出額の80%にのぼった。 62年2月になると ケネディ大統領は制裁をいっそう強化。全面的な輸入禁止を発表した。制裁には中南米国家と北大西洋条約機構(NATO)も参加、キューバとの軍需物資取引を遮断した。 サトウキビだけでなく、経済の対米依存度(輸出60%、輸入70%)が大きかったキューバの打撃は大きく、経済の停滞は今も続いている。 しかし、この制裁はキューバへの「決定的な打撃」とはならなかった。友好国のソ連と中国がサトウキビを買い、ポーランドはキューバと通商協定を結んだためだ。 キューバ制裁は米国経済への影響も少なくない。最近になって制裁は一部が緩和されている。 キューバやイランのケースは、グローバル化が進む中、一国による経済制裁がいかに難しいかを示している。 |