制裁⑫ 連載33回目 経済制裁の有効性と限界 五味洋治 (2010.3.17) 経済制裁は、いつでも有効とは限らない。 過去約200件の経済制裁を検討したピーターソン米国際経済研究所によれば、成功率は3分の1に過ぎず、経済制裁以外の方法が、目的実現には有効だったという。 http://www.petersoninstitute.org/publications/newsreleases/newsrelease.cfm?id=136 経済制裁の成功例として挙げられるのはイランのイスラム革命時に起きた米大使館人質事件(79年11月~81年1月)だ。 米国とイランは1980年4月、在テヘラン米国大使館人質事件を理由に国交が断絶された。米国は、すでにイランと契約済みの軍事部品の積み出し禁止、イラン石油の輸入停止、米国にあるイランの公的資産などの差し押さえを命じた。 イランは、これらの制裁にも屈せず、友好国を通じて輸入ルートを確保するなど対応策を取った。 しかし、イラン・イラク戦争(1980年9月22日に始まり1988年8月20日に国連の安全保障理事会の決議を受け入れる形で停戦)によって、イラン経済は大きな打撃を受け、イラン側が人質解放を提案、交渉が重ねられ、80年1月20日、52人の人質は解放された。 宮川真喜雄著「経済制裁 日本はそれに耐えられるか」(中公新書、1992年) http://www3.keizaireport.com/file/BTM-WDCINFO2006-No.058.pdf 北朝鮮への制裁の場合、長いものは60年が経過しており、ここ数年の核開発をめぐる米朝の交渉過程に影響を与えていない。影響を与えていたテロ支援国リストと、金融制裁は解除されてしまっている。 さらに中国やEU諸国、韓国も経済進出や支援を行っている。特に1300キロの国境を接している中国からは、軍事転用可能な物資も北朝鮮に持ち込まれていると考えられ、事実上制裁のかなりな部分は効力を発揮できていないと考えられる。 |