制裁⑦ 連載28回目 テロと制裁の関係 五味洋治 (2010.1.15) ここで、テロ防止と制裁の関係を考えてみたい。 Georgetown大学のポール・ピラー教授は、テロの研究で知られている人だ。この人の著作『テロリズムと米国外交政策』(2001年)にはテロ防止のための経済制裁の限界について触れている部分がある。 http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200602110320.html 3つあり、1つは、制裁を終わらせる基準がはっきりしないまま制裁が行われている。 2つめは、制裁は制裁対象国の国の評価を下げることに寄与しない。 3つめは、米国の制裁が必ずしも他の国と歩調が合わず、効果を上げない。特に一カ国による単独制裁はほとんど効果を上げない(167~169ページ)。 「経済制裁は当初は効果があるが、よい行動を取らせるためには、テロ支援活動を変えた時に、米国が進んで制裁を和らげるかに掛かっている」(226ページ)と述べている。 これは北朝鮮に対する日本の制裁にも該当するだろう。日本からの物資が入りにくくなっているのは事実だが、北朝鮮は主に中国から物資を入手している。 さらにこの本は、米国のテロ支援国国家リストについて「これは最終目的ではなく手段だ。目的はある国家を悪の政権と色つけすることではない。それは相手を怒らすだけで、行動を変えさせることにはならない」(175ページ)と指摘し、常にテロを基準とした誠実なリストとするよう求めている。 さらにテロをやめさせるには、自らを改革するよう動機付けることが大切で、そのためには関与政策を取り、「直接対話」が最も有効だ(226ページ)と強調している。 北朝鮮については、「テロよりも、兵器拡散の懸念がつよまっている」として、テロ支援国リストに入れておくことに疑念を呈していた(227ページ) 米国がテロ支援国リストから北朝鮮を外すことについて、米国では賛成する人も少なくなかった。 米国が9・11テロへの過剰な反応を戒める意味でも、ピラー教授らのような考え方が、大きな影響を持っていたと考えられる。
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