制裁⑥ 連載27回目 テロ支援国リストからの解除 五味洋治 (2010.1.8) テロ支援国リストから北朝鮮を外す問題は、日米間で微妙な摩擦を生んだ。 日本は、日本人の拉致は「テロ」との姿勢だった。米国は、リストからの解除を北朝鮮との取引材料にしており、日本の事情とは無関係に、2008年10月11日、北朝鮮に対するテロ支援国家の指定を解除すると発表した。 指定解除は約20年8カ月ぶりとなった。 http://kakujoho.net/susp/dnk08.html 北朝鮮が、2008年6月26日に核計画の申告を提出し米朝間で、未申告施設を含む施設へのアクセスやサンプル採取を含む一連の検証措置について合意に達したとされたためだった。 http://yasz.hp.infoseek.co.jp/source/bush-20080626.htm 米国務省は、ミサイルなどに関する制裁は継続されているとしている。 http://2001-2009.state.gov/r/pa/prs/ps/2008/oct/110923.htm 米財務省報道官も、ブッシュ米大統領が北朝鮮をテロ支援国リストから除外した直後、北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)や核拡散を防止するため、資産凍結などの金融制裁は当面継続する考えを明らかにしている。 報道官は、北朝鮮の核計画申告書提出により一部経済制裁が撤廃されるが、米国内に約3200万ドル(約34億2500万円)ある北朝鮮資産の凍結は解除されていないと説明。米銀行との取引再開なども「北朝鮮が国内の資金洗浄やテロ資金対策を国際基準に合致させるかどうか次第だ」と指摘した。 事実、指定解除後も国際機関などからの支援は受けられないままで、実質的なメリットは生まれていない。 北朝鮮側もそれは感じているようだ。 2008年11月4日の共同通信電によれば、北朝鮮のシンクタンク、社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)教授は米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除した経済的な効果について、今後の貿易環境に「有利な影響を与えると思う」と述べ、一定の評価をしたものの、同時に「わが国への制裁がすべてなくなったわけではなく、過大な幻想を抱くことはできない」と話し、今後も厳しい貿易環境は続くとの認識を示している。 北朝鮮はリビアのような石油資源国ではない。北朝鮮のもつ不確実性や不透明さの高さを見ると、テロ支援国家指定が解除されても、米国企業が進出するとは思えない、との指摘がある。 http://www3.keizaireport.com/file/WDC027.08.pdf |