大衆迎合の民主党政権を糾す② 洪 熒 佐藤勝巳 (2009. 12.28) 安全は空気ではない 佐藤 先ほど、沖縄の基地は日本を含むアジア全体の安全保障の要(かなめ)であると指摘されましたが、お恥ずかしいことに、日本国民は選挙のとき自国の安全保障を考えて投票したことがあるのだろうか、と言わざるをえません。多くの国民は、沖縄の基地問題がこれだけ騒がれている現在でも、わが国の安全は空気のように自然に存在していると思っています。 私たちの贅沢ともいえる生活を維持出来ているのは、湾岸諸国からの石油が安全に輸送されてきているからだということを国民は意識せずに過ごしています。だが、あの長い海上ルートを誰が守っていると言えば、極東からインド洋までを常時カバーしているのは米第七艦隊です。わが国の海上自衛隊は今まで、国際テロや海賊と戦っている諸外国の艦艇にインド洋上で補給活動を行なってきました。しかし民主党政権は、それを来年1月で打ち切ります。 シーラインが絶たれたら全国民の生活はたちまち破綻(はたん)します。本当に国民の生活を守ろうとするなら、日米同盟の強化しかない筈です。自国で防衛手段を持つというのなら別ですが……。民主党政権を出現させた国民は、自分の手で自分の首を占める愚行を行なったのだということに気づかなければなりません。この100日間の民主党政権を見て、選択が誤っていたことを深刻に反省する必要がある、と思っています。 洪 私は、日本がインド洋に進出できた歴史的な「実績」をいとも簡単に放棄するのを見て驚きました。給油活動の代わりに、年間15倍近くのお金をアフガニスタンに援助すると約束した民主党政権の政策は理解不能です。日本の海上自衛隊が将来インド洋へ出ようとするとき、国際社会から自動的に支持が得られ、感謝されるという保証はあるでしょうか。民主党を支持した有権者にはそういう認識や反省はあるのですか。 佐藤 あることを期待していますが、寡聞にして知りません。高い授業料を払ってただ今学習中と考えたいのですが……。 金正日と小沢一郎氏の類似性 洪 小沢幹事長は民主党所属議員に向かって、事実上政府提出法案以外に議員立法はするな、と指示を出したと言われています。が、国会議員は所属政党の党員であると同時に、国民から負託された立法機関のメンバーで、憲法も改正できる権限を与えられています。それなのに一政党の幹事長が、議員立法活動を制限することがあり得るのか。さらに驚くのは、党内からも、マスコミからも反論や批判が上がっていないことです。これは、憲法の上に労働党の規約があって、その上に独裁者の「お言葉」がある北韓を連想させます。外国人から見ていると恐ろしい現象ですね。 佐藤 小沢氏の例の天皇陛下への「面会強要事件」もそうだし、今、話のあった件も本質において個人独裁の極めて危険な傾向であり、要注意です。 洪 民主党は政治優先とか、政治家が官僚を支配すべしと言っていますが、これもおかしい。憲法には、内閣や国会、その他の憲法機関、官僚も法律によって国家と国民に奉仕すると記されていますが、政治家が官僚を支配するとは規定されていません。アジアで一番長い民主主義の歴史を持つ日本で、こういうことがなぜ問題にならないのか、私の目には不気味に映ります。 先ほど佐藤さんが検察を批判されましたが、実は、李明博大統領もおなじことやっているのです。李大統領は12月23日、金大中・盧武鉉時代の左派人士を大挙参加させた「社会統合委員会」を発足させました。「社会の統合」を、法治の確立でなく政治的妥協を通じて接近させることは明らかに間違いで、典型的なポピュリズム的発想です。国民的合意を言うなら法治の確立、「順法委員会」を作るべきです。 李明博大統領やハンナラ党は、左派(金大中・盧武鉉勢力)との「中道左派連立」路線、つまり「社会統合」で来年の地方選挙などに臨もうとするようですが、憲法と法治を無視してきた親北・左翼勢力との連携は、社会統合でなく自由民主主義と法治を危うくするだけです。 人間性の破壊 佐藤 政権交代で、日本人の持つ弱さの側面が顕在化してきたと見ています。長い間日本を支えてきた価値基準やシステムが揺らぎ崩れだしています。 洪 有権者は民主党を支持して政権を取らせたというよりは、自民党を戒めるために民主党に投票したと見ています。民主党はポピュリズムで子ども手当てなどバラまきの約束をしたことも大きな要素です。所得格差が広がり、将来への不安が広がっているところに、その全ての責任を自民党や官僚に負わせるのに成功した結果、と私は見ています。 佐藤 問題は不安をどう解決するかということです。民主党は「コンクリートから人へ」カネを使うと主張し、それらしき予算を編成したが、国民にカネをばら撒けば票は集まるかもしれません。しかし、困難に直面したとき自分の力で解決していくとか、国が危機に直面したとき、国民が団結して困難に当るということが個人と国家にとって、もっとも大切な生き方です。民主党のばら撒きは、この大切な主体的生き方を否定するものです。 困ったら政府に(誰かに)文句を言えばよい、というのは、自分で努力することを放棄する人間を大量に作りだす亡国政策です。社会主義国が破綻したのは「平等という不平等」を作り、人民に勤労意欲を喪失させたからです。民主党はその愚かな政策をなぞっているとしか思えません。 洪 民主党の政策は、競争と拡大再生産より平等と分配を強調する左派ポピュリズムだということを、国民(有権者)は理解し自覚しているのですか。 佐藤 現時点では理解していないと思います。 洪 それは困ります。今、民主党がやっている政策は、実は、金大中・盧武鉉政権の政策そのものです。民主党幹部の総てではないが、金大中・盧武鉉政権に親しみを持つ人がいます。韓国人の私から見ていると、民主党だけでなく自民党の中にも、人間の主体性を駄目にする韓国の左派とダブって見える人々が少なくありません。 小沢氏に議員辞職を求めるべきだ 佐藤 小沢氏の頭の中には、来年7月の参議院選挙をどう勝つかということしかない。外国人参政権付与で民主党の票が増えるのなら法案を通せ、拉致被害者が帰ってきて票になるなら、制裁解除で取引せよ、ということになる可能性が高い、と私は思っています。 普天間基地移設問題は、日本がアメリカと組むのか、中国と組むのか、首相も国民も選択を迫られています。ここで初めてわれわれにとって、本当に誰が味方で、誰が敵か、その手先は誰かが明らかとなっていくはずです。人の認識には課程がありますが、今こそ有権者の認識が問われているということで、来年は日本人が賢くなれるかどうかの分水嶺です。 ただしこれには条件があって、自民党も含め心ある国民が左派ポピュリズムと戦わなければ勝てません。また傲慢無礼な小沢氏には国会議員を辞任してもらう以外ない。止めないでしょうから、辞任要求の署名運動を大々的に展開すべきです。また、自民党の影が薄いという声がいたるところで聞かれますが、私は、谷垣禎一執行部は保守ではなく、民主党の考えや、政策とどこかで通じている中道なのか、と考えだしているところです。 戦わなければ同類 洪 韓国はもっと深刻な状況です。自国民を大量餓死させながら作った原爆をもって韓半島から自由民主主義を抹殺しようとする独裁者金正日を制圧・除去する覚悟が見えません。南韓の助けを切望している北韓の2000万人の同族を救おうとしません。この恐ろしい無気力や利己主義は、韓国人の精神力を殺ぐため共産主義勢力やその手先になった左派知識人などが行なってきたプロパガンダの結果です。 最近ソウルでは、この長い間左派が構築した破滅的精神構造を清算し健康な社会を復元するために右派(真の保守)のプロパガンダ司令部を創設しようとする動きが現れつつあります。常識と無知、知性と反知性、文明と野蛮の戦いです。 佐藤 長時間有難う御座いました。 読者の皆さん、健康で新しいお年をお迎えください。 |