東北アジアの望ましい未来を建設するための韓米間の戦略的協力 李春根 (2009.12.17) 国際政治は絶えず変わる。大韓民国が樹立されて61年が経つ間、東北アジアおよび世界の国際政治体制は冷戦時代(1945‐1989)、脱冷戦時代(1990‐2000)、反テロ戦争時代(2001以後)などと変わりつづけた。各時代は独特な力の構造や国々の行動様式で特徴される。冷戦時代は二つの超強大国が世界政治を支配する両極構造だったし、当時の国々の行動は陣営内の団結(intra bloc cohesion)と陣営間の深刻な敵対感(inter bloc hostility)をもって特徴付けられた。冷戦の最前線に位置した韓国は、同じ陣営のアメリカとは完ぺきな団結を維持し、北韓、中国、ソ連はもちろん、ヨーロッパの共産圏の国々とも最悪の敵対関係を維持した。 1980年代の末、冷戦が終わるや韓国はソ連や中国はもちろん、東ヨーロッパの旧共産圏の国々と友好関係を持つようになり、北韓とも冷戦時代とは異なる関係ができた。この期間に韓国は思う存分北韓とも「蜜月関係」が保てた。問題は、世界的な国際政治体制は脱冷戦に入ったが、韓半島では冷戦が続いていたという事実だった。理念と思想が異なり、南韓を窮極的に制圧すべく革命路線を堅持している北韓とは真の蜜月が不可能だったのに、韓国はそれに気が付かなかった。 アメリカも北韓と関係を改善するのに、韓国が北韓と関係改善ができないわけがないと思う人々が多かった。アメリカが1990年代の10年間、北韓と関係改善を進めた理由は、北韓が他の国々のように共産主義から自由民主主義体制に変革を成し遂げたためではなかった。アメリカが北韓と関係改善ができた理由は、アメリカから見れば、共産国家の北韓があまりにも虚弱だったからだ。共産主義陣営の宗主国だったソ連が崩壊し、中国までも体制改革を進め、国際共産主義が総体的に崩壊した状況で辛うじて生残った北韓は、アメリカから見れば、米国を威嚇できる戦略的威嚇(strategic threat)になり得なかった。脱冷戦時代の10年間、米国は戦略がなくてもかまわないほどだったし、専門家たちはこの時代を「歴史の休日」(Holidays from History)と呼ぶ人もいる。 そうするうちに、2001年9月11日のただ一日で「歴史の休日」は終幕を告げ、完全に新しい国際体制が到来した。アメリカ人たちは、もうこれ以上安全が保障されると考えられなくなったのはもちろん、自分より力の弱く貧しい他の国々よりも、むしろ安保状況が遥かに劣悪になったと感じ始めた。テロリストたちの攻撃の前に、アメリカ人たちが他の国々の人々より遥かに脆弱になったという事実を見ると、アメリカ人たちが考える「テロ戦争の時代」の意味が何であるかが明確に分かる。 「テロ戦争の時代」に直面したアメリカは、自らを危険にする三つの国を悪の枢軸と指目した。北韓が悪の枢軸の三つの国の一つになった事実は、北韓との冷戦は終わったと理解していた韓国には衝撃だった。理念が異なるだけでなく、武力的手段を動員しても南韓を解放(統一)すると狙っていた北韓と「蜜月」を楽しめると期待した大韓民国の左派政権らは当然アメリカと深刻な葛藤関係に陥った。 アメリカは北韓を新しい時代の主敵の一つと看做す反面、韓国は北韓の肩を持ちながらむしろアメリカと対立した。大韓民国に左派政権が続く間、アメリカ人の中では北韓をむしろ中国に服属させる解決方案まで考えた人々もいた。どうせ大韓民国がアメリカの同盟国として行動しないから、核武器を持った北韓を中国が統制できるなら北韓を中国に渡してもよかった。当時は自由民主主義の統一などはアメリカ人から見るとさほど緊急な事案でもなかった。 今やっと韓米同盟は再び復元されつつあるところだ。アメリカの学者たちは韓国人たちの憂慮をよく理解しており、オバマ大統領に対北政策で必ず守らなければならないいくつかの原則を提示している。いくつかの原則とは、アメリカは決して韓国を排除したまま北韓と単独で交渉しないこと、統一された韓半島は自由民主主義体制でなければならないという原則を確実に闡明すること、北韓との核問題協商においては韓米同盟や駐韓米軍問題は決して協商の対象になってはならないということなどだ。李明博政府出帆後、韓米関係が戦略的同盟関係に格上げされる過程でとりつけた大切な成果だ。 ところが、同盟というのは互いにやりとりをする関係でなければならない。多数の親韓派の米国学者たちは、アメリカが先に述べた原則を守る時、韓国もアメリカのために何か寄与してくれることを望む。アメリカの学者たちは、東北アジアの未来に関するいくつかのシナリオを提示し、アメリカに最も有利な未来の東北アジアと、韓国に最も望ましい未来の東北アジアは同じものだと主張しながら同じ目標を達成するために協力し合おうと提案する。 ダニエル・トワイニン(Daniel Twining)という学者は、アジアの未来は次の四つの一つであるはずだと予測する:(1)現在のような国際秩序が続く-地域的な枠組みの内でアジア諸国が静かに競争を行い、アメリカを中心にした同盟体制が続くアジア;(2)赤裸々な勢力均衡の国際政治が展開される国際秩序で、アメリカの力が相対的に衰退し、アジア地域の強大国たちである中国や日本などが赤裸々に自国の安保のため攻撃的競争を行うアジア;(3)ヨーロッパにおいて形成されたような民主的な平和秩序を維持するアジア-このような状況は中国の政治的民主化が先行しなければ不可能だ;最後に(4)中国中心的なアジアの国際秩序で、中国の影響力がアジア全体に拡大した、近代以前のように中国が「中華帝国」(Middle Kingdom)として東アジアの国際関係を位階秩序で構成する状況などだ。 上の四つのシナリオの中で韓国にとって最も望ましいのは(1)と(3)であろう。アメリカも(1)と(3)を最も望ましいと考える。(2)と(4)の状況が展開されると韓国は非常に困惑した状況に置かれる。(2)の状況は、アメリカが撤退したことで真空状態になったアジアの主導権掌握のため、日本と中国が本格的に軍備競争をやる状況だ。強者たちの争いのため弱者たちが被害を被る時代が再来する。韓国はこのような状況が来るのを防がねばならない。(4)の状況は、朝鮮王朝が中国の明や清に朝貢を捧げたのと類似の状況であり、この場合アジアの小国たちはアメリカに対しておとなしい南米の国々より遥かに自律性の少ない厳しい状態に置かれるだろう。 (3)は望ましいが、アジアの場合はほとんど不可能だ。まず中国が民主化を達成しない限り不可能で、(3)の状況は、中国を牽制できる強大な勢力(アメリカ程度の)が存在しない限りいつでも(4)の状況に変わり得る。ヨーロッパが今の平和共同体を維持している背後には強大なアメリカの軍事力が秩序維持勢力として存在している事実を想起せねばならない。 それでは、われわれに最も望ましいアジアの未来は(1)の状況に帰結する。(1)の状況が持続する場合、われわれは強大な米国の力を通じてアジアの強国を牽制できる。アメリカ人たちは、韓国がアメリカを積極的に支援する場合、アメリカは「アジア国家」としてずっと残れるし、アジアの未来が(1)の状況を保てると主張する。そのためには韓国の戦略的支援が切実だと信じる。 わが国の能力、地政学などを総合的に考慮すると、アメリカがアジアで強大な均衡者として存在しつづけることが最も望ましいアジアの未来だ。アメリカもそのような状況を一番望んでいる。韓米両国は、緊密な協力を通じて未来のアジアを望ましい地域にする十分な能力がある。アジアの未来をただ待っているのではなく、われわれに最も望ましい状況になるように努力しよう。 この文は、「未来韓国」12月の第2号の「李春根博士の戦略論」のコラム欄に掲載されます。 http://blog.naver.com/choonkunlee 2009.12.11 09:27 |