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北朝鮮国連代表部の機能と謎⑦
連載20回目 抗議
五味洋治
(2009.11.4)

 

    2007年11月、ボルトン前米国連大使が『降伏という選択肢はない』という回想録を出版したが、その中で北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議に関連した詳しい経緯を説明している。

 

    決議が全会一致で採決されると、北朝鮮の大使が猛烈に抗議し、退席したが、同書によると「これはフルシチョフが国連総会の場で、自分の靴をテーブルに叩きつけた事件の現代版だ」(309~310ページ)と振り返っている。

 

    1960年10月12日の国連総会で、ソ連代表が提出した「植民地主義非難決議」に対し、フィリピン代表ロレンゾ・スムロング(Lorenzo Sumulong)が「ソ連の東欧諸国への関与こそ、正に植民地主義であり非難されるべきだ」と逆襲したことに怒ったフルシチョフが、自分の靴を脱いでこれで机をバンバンと繰り返し叩いてスムロングの演説を妨害した事件のことを指す。

 

    さらに「北朝鮮核問題の最終的な解決は、朝鮮半島の統一」であり、「北朝鮮人民はいつの日か、金正日を処刑する日がくるだろう」(313ページ)と過激な表現を使っている。

 

    ボルトンは、同書の中で北朝鮮核問題の六カ国協議を批判する一方、国連安保理が2006年の北朝鮮核実験に対して採決した制裁決議について「強い外交で強い制裁決議を採択した」と高く評価している。

 

    しかし、この決議は有効ではなかったとのレポートが最近だされている。問題はこの制裁にしぶしぶ賛同した中国だった。

 

    中国がカギを握ることは、当時のブッシュ政権の中枢も承知していた。決議が採択された翌週に開かれたNSC(国家安全評議会)で、中国が中朝国境を十分管理し、制裁を行うかとの意見が相次いだ(310ページ)。

 

    ブッシュ大統領は「中国は我々の方に来ている。北朝鮮を絞り上げるかどうか見守る必要がある。中国は、北朝鮮のこけおどしを暴かなくてはいけない」と楽観的な見通しを示していたという。