Ⅱ 北朝鮮国連代表部の機能と謎④ 連載17回目 民間交流の窓口 五味洋治 (2009.10.14) 国連代表部は、アメリカからの人道支援や、2カ国間の人的交流でも窓口となっている。 たとえば、米国内の人道支援団体が支援物資や北朝鮮入りの日程を相談するのは、国連代表部である。 北朝鮮と米国との学術交流は、細々ながら続いている。ニューヨーク州にある名門のシラキュース大学が実施している。同大学のトーソン教授とニューヨークで会って、直接内容を聞いたことがある。 彼は、2002年から電子図書館を建設するプロジェクトを進めている。「誤解されやすいので、マスコミ関係者には会わない」と話していた。私は留学生の肩書きだったので、会ってくれたようだ。 シラキュース大学は、旧ソ連や東欧諸国、中国などとIT技術の学習を通じた交流を行っており、この延長に北朝鮮がある。軍事技術に転用されにくく、しかも将来的には世界とつながる事業、と位置付けているようだ。 北朝鮮は、この事業を通じて電子図書館などの施設の建設を受け、技術英語も勉強できる。一方、シラキュースの方も大学院生が北朝鮮に関心を持ち、ハングルを学ぶ学生も出てきたという。 「このプロジェクトの終了時期は考えていない」とトーソン教授は言う。「拉致問題があるのは分かっているが、次は日本の大学に参加してほしい」とも付け加えた。 カーター政権で国務次官補を勤め、現在は、ハーバード大学特別功労教授であるジョセフ・ナイは外交での「ソフトパワー」を提唱して流行語となった。要するに、文化や学術交流で、国と国との間を円滑にしましょうということだ。 北朝鮮と米国の関係が、シラキュースの交流の影響を受けているとは言えないだろうが、こういう地道な努力がお互いの理解を拡大するのは間違いない。 米国の民間交流は重層的で、手厚い。
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