現代コリア

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連載10回目 庶民生活の調査

五味洋治
(2009.8.26)

 

    CIAは、北朝鮮に対してどれだけの情報を持っているのだろうか。その手がかりとなりそうな本がある。ヘレン・ルイズ・ハンター(Helen-Louise Hunter)という元CIAの女性情報官が書いた『Kim Il-song's NORTH KOREA』( 金日成の北朝鮮、Greenwood Publishing Group, Incorporated)という本だ。

 

    北朝鮮の国内政治や軍事を分析したものではない。脱北者からの聞き取りを基に、北朝鮮人の一般生活を記述したものだ。本人が「米国政府が作成した国家別の社会学的報告書の中でも、詳しい内容になっているだろう」(同書)と自負している。

 

    現在のように韓国に亡命する北朝鮮人が1万人を超えている時代では、同書の内容は珍しいものではないが、1990年代は、限られた人しか知ることのできない内容だったろう。内容を見ると、庶民生活に焦点が当てられており、北朝鮮の教育、住宅事情などだ。特に興味深いのは「恋愛事情」について調べた項だ。法律によって男性は29歳、女性は25歳以下では結婚できない。手紙で恋愛感情を表現するのがやっとだ、と書いてある。

 

    米中央情報局(CIA)元東アジア部長で、北朝鮮問題の専門家アーサー・ブラウン氏も時折、マスコミに登場する。同氏は2004年暮れまでCIAに在籍し、現在はコントロール・リスク社のシニア・アドバイザーをしている。非常に慎重な人で、相手の身分や電話番号を確認して、かけ直してくる。日本に来て講演したこともある。

 

    昨年10月の段階で同氏は、「北朝鮮の金総書記が病気になったと伝えられるので、大きな決定はできなくなる。対外的に強硬路線になるだろう」、中国の北朝鮮への影響力については「航空燃料や、化学物質はすべて中国から行っているので、中国の協力がなければ何もできなくなる。ただ、有事の際に、中国軍が北朝鮮に入るというのはどうだろう。朝鮮には伝統的に反中国のムードがある」と分析していた(チャンネル桜 桜プロジェクト 2008年10月9日 『 北朝鮮情勢分析スペシャリストの提言』)。