現代コリア

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安保を総選挙の争点にして欲しい                             
佐藤勝巳
(2009.08.04)

 

    金正日政権は、オバマ政権に対して必死に話合いを申し入れている。
    日本政府は、オバマ政権に対して話合いに応じてはならないと、断固として申し入れるべきである。

 

    考えてみるがよい。06年北の核実験の直後、国連は全員一致で金正日政権に制裁を科した。昨年10月ブッシュ政権は判断を誤って、金正日政権に対するテロ支援国家指定を解除した。国連の制裁破りの張本人は、ブッシュ政権だったのだ。

 

    オバマ政権は前回の本コラムで言及しているように、「包括的パッケージ戦略」で「核放棄約束するなら」交渉に応じてもよい、と言い出した。金正日政権はオバマ政権を騙すために、この提案に乗ってくることは間違いないだろう。「オバマお前もか」である。

 

    くどいようだがジュネーブ合意のときも、6者協議のときも金正日政権は核を放棄する、と「約束」して交渉に応じてきたのだ。そして交渉相手の目の前で2回も核実験をやったのだ。

 

    オバマ政権はこの期に及んで何を言っているのか。金正日政権は、核を放棄する意思はまったくない。もっと言えば金正日が病気で死亡しても、核を放棄することはないのだ。

 

    なぜなら、核開発を放棄したら、その瞬間にあの独裁体制は崩壊する。自らが崩壊する政策を選択するものはないからだ。オバマ政権はこんなことが分からないのだろうか。いや、分からないはずがない。

 

    ではなぜ、同じことを繰り返すのか。ビル・クリントン政権は1994年金日成が死亡したとき、金正日政権は崩壊すると読んで、ジュネーブ交渉を始めたと言われている(日本外交筋)。だが、事実はそうはならなかった。

 

    今回も、まもなく金正日が死亡するという前提でオバマ政権が交渉を始めるのではないかとの観測が流れている。死亡イコール政権の崩壊ということになるだろうか。もしそうならなかったら同じ間違いを繰り返すことになる。

 

    同じ間違いを犯したらどうなるのか。金正日政権もしくは後継政権が核ミサイルを保有することになる。アメリカに届く大陸弾道弾はないが、ノドン1号の射程圏内にある韓国・日本は安全保障上重大な脅威にさらされる。

 

    当然のこととして東アジアに第二の核ドミノ現象が起きることが想定される。それを防止する最善策は、金正日政権に核を保有させないことである、と日本政府はオバマ政権を積極的に説得すべきである。

 

    具体的にはどうすればよいのか。オバマ政権は金正日政権と話合いをせず、国連決議1874を断固実行し、中国などにも決議の実行を求めることである。諸悪の根源は金正日政権の存在であり、それを除去することにある。

 

    いつまでも問題の先送りをすることは自殺行為に繋がりかねない。一番脅威を感ずるものがもっとも真剣に対処することは当たり前のことだろう。

 

    幕末、西郷隆盛と勝海舟の交渉によって、江戸城の無血明け渡しに見られるように、幕府と薩長軍の戦争が江戸で回避されたことは誰も知っている。半藤一利著『幕末史』によると、勝海舟は薩長軍が江戸に入ったときを見はからって、江戸市中のヤクザを使って江戸の外側から火を放ち薩長軍を皆殺しにする計画を立て、江戸市民の犠牲を少なくする手配を整え、西郷隆盛と戦争回避の交渉に臨んでいる。

 

    江戸市中を焼き払うという決意と準備が、戦争を回避したという貴重な教訓が、ここから読み取れる。

 

    米朝交渉にも無関心ではいられない。政権公約も大切であるが、勝海舟のようにわれわれが、金正日政権の核に対し何をなすべきか。自分のことである。総選挙の最大の争点にして欲しい、と願っている。