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「類は友を呼ぶ」北朝鮮とミャンマー
佐藤勝巳

(2009.07.10)


    オバマ政権は、北朝鮮の貨物船江南(カンナム)号がシンガポール経由ミャンマーに行く、とメディアにリークした。積荷は国連決議1874違反物資、というものである。

 

    これを読んだとき、オバマ政権は江南号がミャンマーに行くのをどうして知ったのか。積荷が大量破壊兵器関連物資となぜ分かったのか、という疑問がわいた。
    その矢先、「自由アジア放送」(RFA)の記者が趙甲済ドットコム(09年7月3日)で次の事実を明らかにした。

 

    RFAは1996年9月設立、民間の非営利団体の運営する短波放送で、中国語・朝鮮語・ウイグル語・チベット語、ビルマ語など9ヵ国語で、「国内メディアを通じて、完全で均衡の取れた報道へと定期的に接することのできないアジアの聴衆に対し、ニュースとその関連情報を放送する」ことを目的とした放送局である。

 

    チョン・アルム記者の記事を要約すると、08年11月22日から29日ビルマ(ミャンマー)軍序列3位センマン将軍を団長とする一行が北朝鮮を秘密裏に訪問、北朝鮮のミサイル生産工場などを視察、北朝鮮軍参謀総長と「了解覚書」を交わした。中身は、

 

    ①両国軍は訓練と研修に協力する。ビルマ軍は特別部隊、軍事安保、トンネル維持、防空  訓 練、言語研修に主力を注ぐ。
    ②両国軍が輸送用航空機と船舶を保管できるトンネルを掘って、地下軍事施設を設置するため互いに協力する。両国は武器を含む軍装備の現代化に協力する。今回の北朝鮮とビルマの間の高位級軍事当局者会談を成功と評価する、と言うも。

 

    以上の情報は、「ビルマ国防部のある関係者を通じて、自由アジア放送が(RFA)が入手した写真と文章は全部で100余件」であるという。

 

    これが本当なら、ビルマからアメリカに情報が流れている可能性が高い。問題はこの情報が信頼に値するものかどうかであろう。この自由アジア放送とオバマ政権の動きはどこかで符合している。

 

    なぜなら江南号の行く先をミャンマー、積荷が国連決議違反物資と断定しているからだ。よほどの証拠がない限りそれは出来ない。ましてやイージス艦で商船の追跡などは間違っても出来ない。アメリカは自信があったのであろう。

 

    最近、在日朝鮮人商社がミャンマー経由で、北朝鮮に国連決議1874違反物資を輸出、摘発され北朝鮮とミャンマーの結びつきがにわかに注目されていた。

 

    それにしても1983年10月9日ビルマ訪問中の韓国全斗煥大統領が、ビルマ独立の父アウン・サン将軍(アウン・サン・スーチンの父親)の廟に献花しようとしたところ、北朝鮮のテロリスト(チン・モ少佐、カン・ミンチョル上尉、キム・チホ少尉、この3人をビルマまで運んだのが総聯副議長だった文東建が寄付した文東建号)が廟の天井に時限爆弾を仕掛け、韓国側外務大臣など17名、ビルマ側4名を爆殺した。韓国大統領は車が2分遅れ、九死に一生を得た衝撃的なテロを仕掛けた。

 

    当時、北朝鮮にとってビルマはアジアで最大の友好国であった。それなのに北朝鮮は国民の尊敬の的であるアウン・サン廟で韓国大統領を殺害するため爆破したのだ。ビルマは激怒して北朝鮮と国交断絶ではなく、国家承認を取り消し、テロリストの責任者の少佐を銃殺に処した。

 

    ビルマ政府は北朝鮮は国家ではなく、テロ集団という厳しい態度を内外に示した。

 

    それにしても金正日政権は、目的のためには手段を選ばない、われわれの言葉で言うならテロ集団。彼らの言葉を使うなら「暴力革命」である。引き続き1987年にはソウル五輪を阻止のため大韓航空機を爆破し、130名の韓国労働者を殺害した。今回のように第七艦隊が動かない限り、言葉では応じない集団であることが改めて明らかになった。

 

    あれから約四半世紀が過ぎた2007年4月北朝鮮とミャンマーは国交を回復した。両国の共通点は、軍事独裁で国際的に孤立、北はミャンマーに食糧などを求め、ミャンマーは武器などを北朝鮮に求めると言う「類は友を呼ぶ」という関係が生まれていたようだ。

 

    冒頭の自由アジア放送の記者の報道は不自然なものではない。朝鮮半島の南北関係を見ていても金大中・魯武鉉政権になると、金父子政権の犯罪を不問に付し、国家民族の利益を投げ捨て、政権の利益を臆面もなく追求する。

 

    利害によって国際政治は何時でも変わる。日米関係も例外ではない。わが国も民主党が天下を取ったにどうなるのか。金正日政権とミャンマーの関係を見ながら改めて思った。