日韓首脳会談の次にやるべきことは 佐藤勝巳 (2009.6.30) 6月28日東京で、麻生太郎首相と李明博大統領の首脳会談が開かれた。金正日政権に核を放棄させる協議は、北朝鮮を除く「5ヵ国協議」で臨むことで一致した(6月29日付産経新聞)という。 金正日政権に大量破壊兵器を放棄させるのに、何ヵ国で協議するかは軽視できない問題だと思っているが、私は、日韓が北の核などを封じ込める手段を、より一層具体的に取れるかどうかがカギになる、と思っている。 李明博政権は、金大中・盧武鉉政権が行っていた一方的な北への援助を打ち切った。日本は06年9月から、拉致の進展がなければ一切の援助はしないとの方針を堅持してきた。 しかし、金正日政権は今年に入って、射程3200キロの弾道ミサイル発射と核実験を行なった。ということは、従来の措置、対応では不十分だということである。 そこで国連決議や首脳会談の結果を受けて日韓それぞれが何をどうするか、ということが問われている。私は本欄で、国家の総力を挙げて、金正日政権の弱点を突くべきだ、と何度か提案してきた。 どんな国家でも、カネがなかったら何も出来ないのだから、今以上の厳しい経済制裁を金正日政権に科すべきである。具体的には、日本から北朝鮮への送金の全面停止、在日朝鮮人の北朝鮮渡航に際しての持ち出し金に対する厳しいチェック、在日朝鮮人の第三国経由の送金のチェックなどを関係省庁が意思統一を図り、断固実行することが大切である。 次に、日本から北朝鮮への輸出は全品目が禁止されているが、大量破壊兵器やミサイル及びそれらの関連物資の拡散を阻止する措置を厳しく実施するためには、「第三国経由で北朝鮮に入るのを如何に阻止するか」が重要な課題である。 これについて私は、これまで何度も関係官庁や政治家に話をしてきた。また、機会あるたびに書きもしてきた。だがいつも「それはなかなか難しい」と、みな口をそろえて言う。 だが、はたしてそうであろうか。私のささやかな経験からすれば難しいことではない。 あるとき北朝鮮の貿易関係者から日本の貿易関係者に1枚のリストが手渡され、そこに記されている物資の購入を要請してきた。私はそのコピーを貰った。 素人の私にはその品目がどういうものなのか皆目見当もつかない。まもなくしてミサイルの部品など製造している日本の有名企業の役員と会う機会があった。企業の幹部にリストを見せて「これは何ですか」と聞いてみた。「すべてミサイル関係の部品です」と、瞬時に答えたのである。「凄い」と驚く私に、彼は「自分たちが作っている部品ですから、すぐ分かります」と答えた。 北朝鮮がいくつかの商社を経由する迂回作戦を取ったとしても、最終的にはメーカーに注文が届く。メーカーは自社製品の〝発注元〟がどこなのかを商社に問うことができる。 つまり、メーカーが売らなければ、北朝鮮が必要とするパーツは届きようがないのである。 政府は、大量破壊兵器やミサイル製造に関連する物資のリストを当然掌握しているだけではなく、それを生産している日本企業も承知している。つまり通商産業省は、関係企業を集め、迂回されて発注されるかもしれないことへのチェックを厳しくするよう指導すべきである。行政指導に限界があるのなら法律を作るなり、改正すればよい。 そのためには、行政や企業の安全保障についての認識を根本から変えなければならない。これは文化大革命に近い仕事であるが、どんな困難が伴おうとやらなければならない政府の責務なのだ。 また、税関には大量破壊兵器関連の知識と技術を身に着けている職員(自衛隊で関連の仕事をし、退職した人たちを再雇用する)を配備し、厳しくチェック体制を確立する。専門家でもない役人にそれを求めても無理だ。ここは、首相官邸の強力なリーダーシップが必要で、国家の安全、国民の生命を守るためにどんな困難があっても実行しなければならない。それが総理の仕事である。 また、北の核ミサイル開発に関与している在日朝鮮人は日本国家の安全を直接脅かしている人達であるから、法に基づいて国外に強制退去させるべきである。 断固としてやるべき事をやれば、北の核ミサイル開発だけではなく、独裁政権を追い詰めることができる。挙げて総理大臣の決断にかかっている。それにしても民主党が天下を取ったら日本の安全はどうなるのか、不安は隠せない。 |