現代コリア

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どうにも止まらない激ヤセ将軍様
岡林 弘志
(2009.06.05)

 

    北朝鮮は、いかに外交的に孤立しようが、核弾頭とミサイルの開発に全力をあげる方針を固め、突っ走り始めたようだ。「核保有国」を当面の国家目標として定め、昨年までのように「核放棄」を外交交渉の対象にはしないということになる。

    期限は2012年。核を“守護神”とする「強盛大国」を目指し、そのための「三代世襲」の後継者問題もちらほらする。金正日総書記は余命幾ばくもないことを知って、焦りに焦っているとしか思えない。

 

    「強盛大国への扉を大きく開く一大壮挙」

    北朝鮮は、5月25日の地下核実験を、内外に向けて大々的に宣伝した。続けて、黄海近くの平安北道東倉里の新しいミサイル基地に長距離弾道ミサイルを搬入した。今度は「人工衛星」でなく、“正々堂々”とミサイル発射を誇示している。

 

    日本海側の江原道旗対嶺でも中距離ミサイルの発射準備の動きがあるという。先には核実験とともに、短距離ミサイルも6発ほど発射した。要するに、米国、日本、韓国を射程とするミサイルを次々と見せつけ、恫喝しているのだろう。

 

    得意の罵詈雑言も止まることはない。

    5月に入って始まったオバマ米政権の名指し批判もますます厳しくなる。韓国に対しても「宣戦布告とみなす」(5・27)と穏やかでない。「大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)」への全面参加を発表したことに反発してだ。

 

    「日本の地は一大修羅場になるだろう」(5・29)。これは、日本国内で自民党の一部から「敵基地攻撃論」が出ていることに対してだ。いずれも、自らが原因を作って、それに反応すると、当たり散らしているのである。

 

    核実験に対する制裁決議を論議している国連安保理に対する攻撃も繰り返している。当然、常任理事国である中国、ロシアもその対象にはいる。

 

    一連の動きを見ると、北朝鮮は核やミサイル実験を「外交カード」に使うというのではなく、いかなることがあっても「核保有国」を目指す意向を固め、走っていることがよくわかる。

 

    「外交カード」なら、見返りがあれば、核・ミサイル開発を止めるという選択しもある。昨年までの北朝鮮は本音はともかく、六カ国協議では「行動対行動」の原則を打ち出し、見返り次第では「核放棄」もあり得る意向をみせていた。「核開発は絶対止めない」と内部では決意していたにしろ、外交的な配慮はできたのである。

 

    しかし、いまや「核保有」を至上命題に、いかなる妨害、国際社会の批判があろうが、突き進むというのは、外交要因というより国内要因を重要視してのことだろう。

 

    強硬路線に転じたのは、金正日の病気、衰弱が大きく影響している。2012年の「強盛大国」は、ここへ来て金正日の業績の集大成、総仕上げという意味合いを濃くしている。ここへ向けての金正日の焦りに軍部強硬派の思惑が重なり、軍事優先、その柱である核・ミサイル開発の強硬路線が進められている。

 

    それを国民レベルで支えるよう強いているのが、4月からの経済再建を目指す「150日闘争」だ。

    さらに、国連や周辺国の非難は、国内引き締めに格好の材料になる。

    「将軍様を決死擁護しろ」。国難を克服するための一心団結を繰り返し呼びかけている。

 

    このところ、盛んに出ている金正日の三男、正雲(26)への権力継承も、金正日の健康問題が直接の原因だ。今年初めから韓国の聯合ニュースが流し、先に毎日新聞、つい最近は朝日新聞も、中国筋などの情報をもとに、報じている。

 

    ただ、「金正日自らが正雲を後継者に指名した」という決定的な情報はないようだ。正雲を推す軍などの金正日に近い勢力が内外に漏らし、金正日は反応を見ているのかもしれない。

 

    しかし、三代続く世襲はうまくいくのか。金正日の場合、後継に決まってから20年もの準備期間があった。それでも父親が亡くなって、三年間も喪に服し、金日成路線を忠実に踏襲することを国民に知らしめて、初めて最高実力者の地位に就いた。

 

    それに、今回は金日星の失政のために経済はさらに悪化し、破綻同然だ。

    正雲に世襲させるにしても、格段と厳しい環境の中での継承になり、かなり強引にことを進めざるをえない。

 

    核開発や後継者問題の急激な展開は、金正日が残された時間の少ないのを知ったあげくとしか考えようがない。最近になって、金正日が再び倒れた、内臓疾患の重症化、などの情報が漏れてくる。(了)