終わりの見えない長い戦争 「冷戦」は「長い平和」の時代、「9.11」以後は「長い戦争」の時代-李春根博士の戦略物語 李春根(未来韓国) (2009.5.11) ドイツ、日本、イタリアの軍国・帝国主義や独裁政治に対抗した連合国らは、戦後の世の中は真の平和の時代になるという期待を持って第2次大戦を戦った。だが、2次世界大戦が終わるや連合国らが期待した平和は虚構だったことが明らかになった。ドイツや日本という大敵と共に戦い血を流した「米・ソ軍事同盟」は、ドイツと日本が没落する瞬間一緒に没落してしまった。
米国とソ連は、伝統的な国際的葛藤原因に、イデオロギーという要因をさらに追加した特異な国際紛争を始めた。この特異な葛藤は、1980年代の後半、共産主義イデオロギーの崩壊、東ヨーロッパ共産諸国の崩壊、そして1990年ソ連の崩壊をもって終息した。われわれがすでによく知っている通り、「冷戦体制」と呼ばれる国際政治史の一つの時代が終了したのだ。 韓国人の大部分は「冷戦」という言葉に対して極度の否定的な考えを持っている。それで今でも国際政治に対して退屈な考え、あるいは時代に遅れたような考えやそう考える人々に向かって「冷戦的思考方式」、あるいは「冷戦論者」と非難する。 ところが、冷戦時代は、強大国の間で戦争が最も「少なく」勃発した記録を樹立した時代だ。強大国とはいつでも戦争ができる国々を意味するが、冷戦時代の45年間(1945~1990)強大国らはほとんど戦争をしなかった。特に、超強大国の米国とソ連は、緊張関係ではあったものの、弾丸一発も直接交換せず冷戦時代の45年間を過ごすことができた。 韓国人たちは冷戦期を「戦争の時代」と勘違いし、冷戦が終わった時代を「平和の時代」と誤解しているが、冷戦時代は500年間の国際政治史上、最も平和的な時代だったと評価される。 事実「冷戦」というおかしな単語は、戦争を意味するものでもない。冷たい(Cold)戦争とは有り得ないものであるからだ。すべての戦争は熱い(Hot)ものだ。それで、Hot Warは戦争だが、Cold Warは実際は戦争を意味はしない。実質的な戦争でないという意味で、Cold Warは事実上の平和と見る学者たちも多いのだ。 国際政治において真の平和とはなかったし、平和とは、ただ戦争のないことを意味するだけだった。それで冷戦時代史の最高権威のジョン・ルイス・ゲディス(John Lewis Gaddis)エール大教授は、冷戦時代を「長い平和」(Long Peace)の時代と命名しているほどだ。 冷戦期に二大超強大国は全面戦争ができなかった。両方とも滅亡するはずだからだった。両国は、自らの陣営に属する小さな国々が戦争をやる場合も、その戦争を一定のレベルに制限しようとした。ひょっとして米・ソが直接戦うことになるのを心配したためだ。それで冷戦時代の戦争は、全てが、使われる武器、地域、目標などが一定の限度で制限される戦争(Limited War)だった。強大国間に戦争がなかったし、小さな国々の戦争も一定の水準で制限できた時代が冷戦時代であった。 「冷戦」が終わり、唯一超強大国として残った米国は、ソ連を意識して武力使用を自制する必要がなくなった。アメリカが湾岸戦争、イラク戦争など大規模の正規戦争をやるのに特別な制約はなかった。小さな国々の間の戦争も一層頻繁になった。米国とソ連のため制限されねばならなかった国際紛争らが思い切り噴出した。戦争が制限どころか、人種清掃(ethnic cleansing)と呼ばれる極限的方式まで現れ始めた。それで、第3世代の現実主義国際政治学を代表するミオセイモ(John J. Mearsheimer)シカゴ大教授は、冷戦が終息した直後、「我々はなぜ直ぐに冷戦時代を懐かしむようになるのか?’(Why We Will Soon Miss the Cold War?)という挑発的な、だが状況を正確に予測する論文を作成したのだ。 それさえ、冷戦が終わって約10年間(1991~2000)は、国際政治の本番のゲームが始まった時代ではなかった。米国は唯一超強大国としての地位を楽しんでいたし、紛争から遠く離れた地域の国々は脱冷戦期の「平和の配当金」を楽しんでいた。それでこの時代を「歴史からの休日」(Holidays from History)と呼ぶ国際政治学者らもいるのだ。 2001年9月11日、国際政治の本ゲームが始まった。終わりの見えないLong Warの時代が開幕したのだ。「9.11」以後、アメリカは戦争を国際政治の「永遠の条件」(permanent condition)、つまり常数として考え始めた。ブッシュ行政府の役人たちは、反テロ戦争の持続期間が少なくとも数十年に達すると想定し、米国民の誰もこのような仮定に疑問を提起しなかった。ラムズフェルド国防長官は、米国民に「戦争を終了する方式に対しては考えないで下さい。われわれは今終わる日が決まっていない持続的な戦争をやっています」と言及したし、イラク駐屯軍司令官のアビザイド大将は、「この戦争は、100年間持続し得る、世代を継いで戦わねばならない戦争(generational war)」と言った。 イラクを攻撃し、フセインを除去するのに成功したブッシュ大統領は、航空母艦のエイブラハム・リンカーン号で、「アメリカは戦争中(America is at War)」と宣言した。その後の6年を続けて、今も続いているイラク戦争は「ブッシュの戦争」と呼ばれる。ブッシュの戦争政策を激しく批判したオバマは、大統領就任辞で「わが国は戦争中(Our Nation is at War)」と話した。イラク戦争が「ブッシュの戦争」なら、アフガン戦争は「オバマの戦争」になるはずだ。アフガン戦争が終わる時点を、アフガンの国内状況が今日のイラクのレベルになる時を基準とするなら、「オバマの戦争」は、「ブッシュの戦争」より遥か「長い戦争(Long War)」になるはずだ。 「ブッシュの戦争」と「オバマの戦争」は、強調する地域は異なるものの、世界的次元で行われる全く同じ「反テロ戦争」だ。北韓がアメリカが主導している全地球的「反テロ戦争」の主要標的の一つになったという事実は、不幸だが我々も戦略的に対処せねばならないことだ。今大韓民国で論議されている大量殺傷武器拡散防止構想(PSI)問題は、米国が行う「長い戦争」の極めて重要な一部分であり、われわれも腕を拱いて様子だけを見ていられない問題である。 略歴:政博、梨花女大兼任教授、ニューライト国際政策センター代表 www.futurekorea.co.kr 2009-05-07 |