他人に依存する思想は国を滅ぼす 佐藤勝巳 (2009.4.10) 深海から聞こえる金日成将軍を讃える歌 北朝鮮の朝鮮中央通信は4月5日、人工衛星を軌道に進入させることに成功し、衛星は〈金日成将軍の歌〉〈金正日将軍の歌〉などを470メガヘルツで地球上に送った、と伝えたが、既に報道されているように、北朝鮮以外に470メガヘルツで受信されたところは世界中どこにもない。北朝鮮の国営通信社は偽りの報道をしたことになり、テポドン1号を発射した1989年8月のときと全く同じであった。
日本などから見ていると、わざわざウソをついて国際的信用を失うことをなぜやるのかと怪訝に思う人がいるに違いない。だが、この発表こそが「国策発表」なのだ。彼らにとって事実などどうでもよく、「金正日将軍様立会いで」(前掲通信)発射されたテポドン2号が失敗するなど、あり得ない話なのである。
北朝鮮は、発射されたミサイルを追跡するレーダーを持っていないのだ。太平洋に配備していたわが国のイージス艦も、既報のように、最後まで追跡し切れなかった。テポンドン2号の着水地点を確認しているのは、自衛艦の先に配備されていたと思われる米軍のイージス艦か、ハワイの米軍レーダー以外にないはずだ。
北朝鮮は、テポドン2号で「人工衛星」が軌道にのったかどうか、また、着水したなら、その地点を確認する手段を持ち合わせていないから、7日の朝鮮中央放送(ラジオ)で、朝日新聞など日本の報道機関が「成功を報道した」という「新手」の虚偽報道を考え出したのであろう。
かくして太平洋の海底から「金日成・金正日将軍様を讃える歌」が、ピョンヤンのラジオのみ傍受できるという、世界の物笑いになっている事態が起きているのである。8日にはピョンヤンで10万人の祝賀集会が開催される。虚構の総合商社である。
軍事機密に関するため米軍から失敗の理由などの発表がないと思われるが、金正日政権は、11年間を費やしてもなお大陸間弾道弾(ICBM)の射程半分程度の3200キロのミサイルしか開発出来なかったのだ。
朝日新聞社説の「謀略」 さて、この独裁政権にわれわれがどう対処するのかということである。
4月6日の朝日新聞は社説で「北朝鮮ミサイル―国際結束で脅威を抑えよう」と題して、「政府は、3年前から北朝鮮に科している独自制裁を1年延長する方針だが、さらに中身を強化すべきだという声も聞かれる。だが、日本単独カードは効果が限定的だ。むしろ国際社会の結束を優先し、安保理の非常任理事国として率先して動く。オバマ政権との連携を強める。まず、そちらを真剣に追求すべき」と、独自制裁より国際的結束を強調した。
「日本の単独(制裁)カードは限定的」だからだという。外務省高官にも似たようなことを言っているものがいると聞くが、この種の主張は〝制裁をしない〟ということに繋がる。
なぜなら、アメリカにとって、自国民が北朝鮮に拉致されているわけでもなく、独裁国家の弾道ミサイルも届かないことが今回改めて分かった。独裁国家の弾道ミサイルが届くのは、韓国と日本だ。金正日政権に国民が拉致されているのも韓国と日本だ。その当事国が、制裁の効果が「限定的」だからやりません、だから国連常任理事国の皆さん金正日政権の制裁に協力して下さい、と政府に行動せよと言っているのが朝日新聞の社説なのだ。
こんな話を聞かされて、オバマ政権が「わかりました、制裁しましょう」と言うだろうか。協力などするはずがない。それよりも金正日政権が日本に届く射程1300キロの「ノドン1号」200基を実戦配備していることは論説氏も指摘している。にもかかわらず、こういう主張をするということは、つまり、制裁をするなという「謀略」ではないのか、とすら思いたくなる。
かつて私は、北京で日本のミサイル部品を買い付けていた北朝鮮工作員に4時間にわたって取材したことがある。そこで分かったことは、ノドンの部品の70パーセント近くはメード・イン・ジャパンであるという事実だ。
彼は、部品だけではなく、本国(ピョンヤン)からの指示で、総聯傘下の在日朝鮮人科学者協会を使って、日本人のミサイル技術者10名近くを北京経由でピンヤンに連れて行ったと話している。
どうしてそんなことができたのかというと、その工作員は中国の幹部を買収して北京郊外にある家電の日中合弁企業の団地に潜り込んだのである。彼は巧みな日本語を駆使し日本の技術者に接近しただけではなく、合弁企業名で、ミサイルの部品を日本メーカーに発注したのである。
元工作員は、「断ったのは東芝1社だけだった」と言ので、東芝に「なぜ断ったのか」と理由を尋ねたところ、「わが社は、かつてソ連に低音スクリューを輸出してココム違反に問われ、ダメージを受けた経験がある。北京郊外の合弁企業と無関係なミサイルの部品が発注されてくれば、変だと思う。だから応じなかった」との答えを得た。
元工作員の話が何を意味したか,謎が解けた。日本の大手電機メーカーは、承知の上でミサイルのハイテク部品を北朝鮮に売っていたのだ。経済産業省も私が直接話をしているから知らないはずがない。しかし現在でも、第三国経由で部品が流れている可能性は消しがたい。
朝日新聞は、日本から北朝鮮へのハイテク部品流出に反対を表明した社説を書いたことがあるのだろうか。私は寡聞にして知らない。朝日新聞論説室も含めた日本の安保意識の欠如と金正日政権を甘く見る姿勢が、今日のように自分の手で自分の首を絞める悲劇を生み出したのだ。
この論説氏はいまだそのことに気がついていない。だからこの期に及んでもなお独自制裁に効果がないから、「オバマ政権と連携を強める」など、国民を誤導することを平気で書くことが出来るのだ。その責任は重大である。
制裁に効果はある この論説氏に聞きたいが、制裁が限定的でたいして効果がないのであれば、朝鮮総聯(とそのダミー)は、日本政府に向かって何故、機会あるたびに万景峰号の入港禁止解除を要請してくるのだろう。論説氏が言うように、たいして効果がないのなら制裁解除など要請してくるはずがない。困っているからだろう。
北朝鮮人民軍は日本から漁業用無線を買って、使っている。また、過去日本からトラックなどの車両が北朝鮮に沢山輸出され、軍が使用している。日本からの全輸出品目を禁止したら、車両の輸出が止まり、以前輸出した自動車のパーツも止まってしまう。そうなれば軍で使っている日本車輌は動かなくなるのだ。
仮に日本車輌のかわりに中国車が入ったとしても、核ミサイルと拉致に対して日本政府が国家意思として断固として全輸出品を止めてこそ、初めて国際社会が協力するのだ。論説氏の言っていることには、主体的に国家の安全や拉致を解決する姿勢がまるで見られない。それとも金正日政権を制裁してはならないと思っているのが本音なのか。
国益に反する在日朝鮮人は国外退去させよ 第二次世界大戦後日本人の北朝鮮認識は、金正日が日本人拉致を認めたときと、今回のテポドン2号発射で大きく変わった。
常識の通じない政権に冷静に対処するということは、出入国管理及び認定法に基づき、法務大臣の判断で、わが国の国益に反する行為を行っている在日朝鮮人科学者協会の幹部、並びにそれを指導している総聯幹部の国外への追放を実施することである。
国家の安全を守るためにわが国政府が毅然として主権を行使する。他国に協力を要請するのはその後のことだ。自分がやるべきことをやらずして他人に依存する論説氏の思考は、自助努力の放棄〝国を滅ぼす〟ということを知るべきだ。
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