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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.12.22)

 

連載(14)
第8章 研究し、万一に備える

 

中国を頼る米国 米国を頼る日本

 

    中国と北朝鮮の最大の違いはどこか。それは米国への対応である。中国は米国との両国間で首脳、軍事レベルの交流を加速化し、両国間の中長期的な「戦略対話」も2005年から開始した。ブッシュ大統領は2005年11月に中国を訪問、逆に2005年9月に予定された胡錦濤・中国国家主席の公式訪米に伴う「米中首脳会談」はハリケーン被災によっていったん延期されたが、2007年4月20日に実現した。

 

    米国の対中貿易赤字や中国の軍事費透明化など米国が中国に改善を求める点は少なくないものの、米国側は中国を「責任ある利害共有者」(responsible stakeholder)と位置付けており、北朝鮮の核問題でも中核になってもらうよう期待している。従来の封じ込めから、中国の影響力を活用する方向に軸足を移している。

 

    一方、北朝鮮は米国に対し、自らの力をアピールするために「てこ」として利用している。核兵器という切り札を最大限に利用し、米国を対話の場に引き出し、譲歩を迫る。それが北朝鮮の人々の自尊心を満足させ、金正日の求心力を高めると思っている。

 

    一方の日本は、日本人の拉致問題解決を北朝鮮側に要求し、経済制裁を科した。2008年6月には、北朝鮮側が拉致問題の再調査を約束したため、制裁を一部解除。米国はこれを受けて、北朝鮮をテロ支援国家から指定解除の手続きをとってしまった。再調査とはいえ、内容や方法は全く決まっておらず、日本政府は世論の批判を浴びた。

 

    貿易の面でも日本の対中貿易額の急増とは対照的に、対日貿易額は落ち込みが目立っている。2000年における北朝鮮の貿易額に占める日本のシェアは22.3%と中国(23.5%)とほぼ同水準だったが、2004年には5倍以上の差が生まれ、韓国、タイ、ロシアに次ぎ、貿易相手国の4位まで後退した。2005年にはさらに6.8%に落ち込んでいる。

 

    2007年、北朝鮮から日本への輸出は経済制裁のためゼロになり、輸入は78.7%減の931万ドル、全体に占める割合は06年の4.1%から0.3%に急減した。北朝鮮は電子部品を日本に頼っており、この点で困っているとも伝えられるが、現実には日本は経済的な影響力はなくなっている。