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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.12.19)

 

連載(13)
第8章 研究し、万一に備える

 

平和宣言 日本は置き去り

 

    核問題の最終段階では、休戦状態の朝鮮戦争を終わりにし、新しい「平和条約」もしくは「平和協定」に切り替えなくてはいけない。その方法はいくつか考えられる。南北朝鮮、米国の3カ国首脳会談を通じて終戦宣言に署名する意思を示し、北朝鮮に安心感を与え、核放棄を促すことだ。各国が休戦状態の終了を一種の紳士協定として表明し、署名することで条約に準じた効力を持たせる。「休戦はより多くの苦難と破壊をもたらす」(李承晩大統領)として休戦協定に参加しなかった韓国も、終戦宣言を提案できるため、韓国内で最近熱心に論議されている。

 

    国防研究院の報告書を元に終戦宣言の内容を見ると、(1)終戦管理機構の設置(2)国連軍司令部の機能転換(3)軍事境界線(NLL含む)非武装地帯の扱い(4)南北軍事的信頼構築――などが含まれなくてならない。その次の段階である「平和条約」の形式は韓国の専門家の多くは、南北朝鮮が当事者となり、米国と中国がそれを保証する「2+2」形式を想定しており、「非核化が完了しない時点でも非核化と冷戦構造を解体する手段として、先行締結することもできる」ことも想定されている。中国では、中国、北朝鮮、国連が停戦条約の廃止を宣言し、その後、北京で開かれている北朝鮮核問題の6カ国協議の作業部会が、新たな協定をまとめ、新たな停戦協定とするべきだとの主張もある(注4)

 

    具体的な平和条約の案としては「外国と締結した軍事条約」の項では「南と北はこの協定の趣旨に反する外国とのどんな軍事協定、軍事同盟、国際機構にも参加しない」(第1条)とある。北朝鮮が中国と結んでいる軍事同盟の内容を含む中朝友好協力相互援助条約は破棄されることになる。実現すれば、伝統的な中朝関係に大きな変化をもたらすはずだ。

 

    平和協定が結ばれるのは、早くとも数年先だろうが、その時には、現在北朝鮮の核問題に限定されている6カ国協議が、北東アジアの平和体制を話し合う新たな枠組みに発展している可能性もある。もちろん中核には中国が座る。その場に日本は加われるのか、私はかなり危うい状況ではないかと考えている。

 

 

(注4)「世界知識」(中国誌、2007年21号)18~19ページ、王宜勝・中国軍事科学院世界軍事研究部副研究員の発言。