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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.12.11)

 

連載(7)
第8章 研究し、万一に備える

 

親族訪問にも枠

 

    中朝両国は、国境付近に住む住民に限定して、通行証を与え、親族訪問を許している。議定書によれば、親族訪問の求めがあった場合は、一カ月有効の通行証を付与するが、審査を厳格にし、国境周辺に親族がいるものだけとする、としている。親族訪問を口実に中国側に逃走したり、中国側で仕事をすることを禁じる意味があるようだ。

 

    一方、「武器、爆発物などを所持した人間が相手側に逃げ込んだ場合は、その人物の写真、所持品などの詳しい資料を直ちに相手側に通報」が新たに盛り込まれた。北朝鮮の武装した国境警備隊員が中国側に侵入するケースが多いことが背景にあるようだ。

 

    また、金正日が列車で中国を訪問する時の安全を念頭に置いてか、「双方の国家指導者が国境の橋を通過する時には、周辺水域の警備を強化する」との項目もある。

 

    86年の議定書にあった「反革命分子や一般犯罪者が相手側の境界内へ逃げる危険が発生した場合、相手側に必ず通報する」(第5条1項)と、スパイやテロリストを意識した部分は見あたらない。

 

    当時中国は、文化大革命の時期に当たっており、反体制活動家が北朝鮮に逃げ込むことを警戒していたとみられる。

 

    2006年8月にも中朝の警察機関が会談し、両機関の交流・協力の強化などについて意見交換しており、議定書の修正が行われた可能性もある。