北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.12.8) 連載(4) 第8章 研究し、万一に備える 韓国の「30日作戦」 北朝鮮に緊急事態が起きた時の対応では、韓国政府が策定した「30日計画」がある。韓国の雑誌「月刊朝鮮」2003年1月号が報じた。それによると、この作戦は1997年7月に作成された。「朝鮮権力層内部において、宮廷クーデターなどの突発的な事態が発生して、クーデター主導勢力が政権を掌握。金正日が追放され、大々的な粛清、民心の動揺などが起きたとシナリオを想定。北朝鮮からの脱出者が一日数千人規模になった場合にこの「30日計画」を発動し、難民対策や、北朝鮮への食料援助、北朝鮮の経済再建に向けた支援などの対策を進める。 難民の規模については全体で30万人と想定し、うち約20万人の大部分は、北朝鮮との国境線地域から中国、ロシアなどに脱出。韓国には、約9万5000人が逃げてくる。 これらの数字は東西ドイツ統一の際の人数を元に換算した。ただしすでに脱北者は韓国で1万人を超えており、現実に北朝鮮が崩壊すれば、この何倍もの規模の難民が出ることだろう。 これに関連し、米国務省で朝鮮半島情勢を担当したある関係者は私に対し、金正日が、万が一の事態になった場合には、「米国が寧辺の核施設を確保し、韓国軍は平壌に入るだろう。中国は2個師団の軍隊が、華僑の保護などを名目に北朝鮮国内に雪崩を打って入り込むだろう。そうなれば、米国、韓国、中国の間で衝突が起きる可能性もある」と語り、不測の事態を危惧(きぐ)した。中国の出方は、北東アジアの安定のカギを握ることになる。 |