北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.12.4) 連載(2) 第8章 研究し、万一に備える 後継者は誰に 最近、金正日の後継体制についてさまざまな分析がなされている。その一つが、2008年の5月に韓国のメディアで発表された韓国国防省傘下の国防研究院の多くの専門家らの予測だ。それによると北朝鮮の金正日が死亡した場合、世襲による独裁体制は続かず、集団指導体制に移行する可能性が高いと予測した。 研究者22人のうち、77%に当たる17人が金正日を最後に独裁体制が終わると予測した。さらにこの中の6人は金正日の生存中に集団指導体制に入ると分析していた。いずれにせよ、独裁は金正日で終わると見ているのだ。 後継者として中心的役割を果たす人物としては次男の金正哲を挙げた人が8人、長男の金正男が7人、義弟の張成沢朝鮮労働党部長が5人だった。 金正男は、日本からの国外退去処分を受けたあと、中国やフランスで目撃されており、候補者レースからは脱落したと考えられていたが、韓国の専門家らは、「5年以内に権力委譲が行われる場合は、組織力や政策立案で実績がある張成沢や金正男が有利」だと分析し、高い評価を与えていた。金正日に異変が起きた場合は、現実的に見て、年齢も30代で海外での経験もある正男を権力の中心に据えざるを得ないとの見方であろう。 これに近い考えを、私は日本の朝鮮総連関係者からも聞いたことがある。中国の専門家の中には5年以内に何らかの形で権力委譲があるとの見方が強く、内部的にも準備をしていると思われる。最近中国のネット上でも、後継者問題が公に論議されている。その中には「結局北朝鮮は消滅してしまう。後継者は必要ない」などと辛辣(しんらつ)な内容もある。 |