北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.12.3) 連載(1) 第8章 研究し、万一に備える 広がる北朝鮮研究 近年、中国では北朝鮮研究が進んでいる。主なところを挙げれば、中国社会科学院、北京大学韓国語学研究中心、ハルビン工業大学国際経貿大学関係大学院、黒竜江省韓国語言文学研究所、吉林省社会科学院、吉林省東北アジア研究中心、東北師範大学、延辺大学東北アジア研究院、遼寧省社会科学院、山東省対外経済研究所、山東大学、上海の復旦大学韓国研究中心、上海国際問題研究所、上海社会科学院朝鮮半島研究中心、同済大学だ(注1)。中国現代国際関係研究所や中国国際問題研究所、共産党中央対外連絡部、党中央党校など政府系シンクタンクも北朝鮮研究を熱心に行っている。 北朝鮮と関係の強い東北地方だけではなく、上海でも研究が盛んだ。中国での朝鮮半島研究は1970年代初期に始まり、当初は文献研究だったが、徐々に研究者が学術交流で現地に滞在するケースも増えている。同盟国だから、なんでも無理を聞いていると思うのは間違いだ。 中国の朝鮮半島研究は吉林省で始まった。80年代は経済発展の著しい韓国研究が主流だったが、90年代は南北同じ程度になり、各地に研究機関ができる。2000年ごろからは朝鮮半島全体という形で研究が進んでいる。もっとも多いのは経済協力に関するものだが、経済、政治、文化に関するものも目立つ。吉林省は90年代初期に「北東アジアセンター」を設立し、「南北朝鮮和解過程の研究」など活発な研究を行っている。 北京大学では修士論文に北朝鮮の核問題や、朝鮮半島の南北統一における中国の役割などを取り上げたものもある。関係者がまだ生存している朝鮮戦争に関する重要文書の公開は進んでいないが、北朝鮮研究はタブーではなくなりつつある。 中国はなにより、北朝鮮の現状維持を望んでいる。よりましな社会「小康社会」を目指す上で、北朝鮮が混乱し、国境地帯や東北地方に影響を与えることは避けたいことだ。しかし一方で、着実に北朝鮮の現体制の崩壊は近づいている。 まず金正日が2008年で66歳となり、健康の衰えは避けられないことがある。さらに、金正日は後継者について明確な態度を見せていない。3人いる息子のだれかに継がせるのか、それとも徐々に集団指導制に変えていくのか、今の時点ではなんともいえない。 (注1)「中国対朝鮮半島的研究」:264~309ページ、民族出版社、2006年11月 |