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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.12.2

 

連載(10)
第7章 関係を不断に発展させる

 

自動介入条項は有名無実化

 

    中国側は以前から、冷戦の遺物ともいえるこの条約の「自動介入条項」について、事実上の骨抜きを進めてきた。その中心人物は唐家璇である(注10)。

 

    中国の唐外務次官は1997年3月20日、韓国の訪中団に対して、中朝友好協力相互援助条約にある自動介入するという条項が有名無実化していると示唆した(注11)。

 

    唐次官はさらに同じ場で「中国は朝鮮半島の緊張がつくられることを望まない。自動介入は冷戦的な思考であり、そうした状況は考えられない」と話したという。

 

    中国の江沢民国家主席(当時)が1995年に韓国を公式訪問した際にも、中朝相互援助条約について質問された。この時には「条約を維持することが、朝鮮半島の安定と平和に有利だと思う」とあいまいに答えた。

 

    唐は2003年9月にも同様の発言を行っている。「条約の軍事援助条項は、(冷戦という)時代的な背景があって、そうした表現が盛り込まれたもので、性格は友好善隣条約だ」と述べ、軍事条項は死文化しているとの見解を明らかにしている。北京で対談した日韓両国の主要メディア代表団に語った。

 

    唐次官はこの席で、同条約はまだ有効かとの質問に対し「既に多くの歳月が流れ、南北が国連に同時加盟するなど、国際的な状況も変わった。条約は形式的なものであり、今や親善の意味があるだけだ」と語った、と言う。

 

    同じ2003年の1月10日、北朝鮮は核不拡散条約(NPT)脱退宣言を行った。これによって第2次北朝鮮核危機が生まれ、中国は仲介に乗り出さざるを得なくなる。


 

(注10)唐は1938年、上海生まれ。北京大学日本語学科を卒業、72年の日中国交正常化交渉に参加し、

           駐日公使などを歴任した日本通で、98年から2003年まで外相を務め、外交担当の国務委員に上り

           詰めた。2006年7月、胡錦濤国家主席の特使として北朝鮮を訪問し、6カ国協議の再開などについて

           金正日と会談している。病気治療中と伝えられる。
(注11)東亜日報(韓国紙):1997年3月21日