北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.11.26) 連載(6) 第7章 関係を不断に発展させる 普通の関係を要求 中国の代表的な朝鮮半島専門家の中国共産党中央党校教授、張漣瑰は北朝鮮が2006年10月の核実験に踏み切った理由をこう分析した(注6)。 北朝鮮はすでに核兵器を保有し、核保有国となることを撤回不能な戦略的政策決定としていると分析。核実験の実施はこの政策決定を実行し、その開発成果を検証する上で不可欠だったと指摘したあと、3つの理由を挙げている。 1つめは、軍事目的。巧妙な外交的隠ぺい工作の下、北朝鮮は十数年にわたり核計画を着実に進めていた。今回の核実験はそれが実用可能かどうかをテストする狙いだった。関係データを収集して設計を改善し、核兵器を科学研究の産物から実戦の道具へと移行させるものだ 第2は、政治目的。国の基本理念である「先軍政治」(軍最優先政治)を定着させるためには、常に軍事行動を高度化しなければならない。軍事行動を充実させることによってのみ、その正しさが証明され、大衆に生じる恐れのある疑念や動揺を打ち消すことができる、というのだ。 3つ目は、外交目的だ。その中には3つの意味が含まれる。1つは、朝鮮が一貫して行ってきた「超強硬によって強硬に対抗する」外交戦術を示して、圧力をかけようとする国際社会の圧力を打ち消すことだ。 2つ目は、瀬戸際政策によって国際社会に核保有国であることを認めさせることである。3つ目は、関係の大国、特に中国、米国、ロシアが朝鮮の核問題における食い違いや矛盾を拡大するとともに、それを利用することだ。 北朝鮮の核実験は、中国にも揺さぶりをかけるものだという見方は、中国側関係者共通の認識であり、両国間の深い部分を指摘している。 (注6)「世界知識」:第20期 |