北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.11.21) 連載(4) 第7章 関係を不断に発展させる 軍事条項削除を要求 軍事条項については、中国国内でも賛否がある。2003年に政府直属シンクタンクの中国社会科学院研究所の沈驥如・国際戦略研究室主任が発表した論文は、中朝友好協力相互援助条約の中の他国の侵略に相互支援を約束した軍事同盟条項の削除を求める内容で、同中国側の本心がにじみ出ていた(注4)。朝鮮の核問題に関して、「中国は条約改正を公式に提起し、軍事援助条項を削除すべきだ」と提言。その理由として(1)中国は軍事同盟的な性質の条約を必要としない(2)中国はすでに核開発に反対を表明、仮にこの問題で米朝戦争が起きても、中国が参戦することはあり得ない――などとした。 ただ中国にとって北朝鮮は対米カードとして十分有効なはずであり、「条約は米国の軍事攻撃を牽制でき、対北カードとしても有効である。それだけに、中国がこれを手放すのは得策ではない」との指摘もある。 沈論文が波紋を広げていた同年9月末、呉邦国全国人民代表大会常務委員長の訪朝が直前に延期された。相互に先遣隊を送っていたが、北側の要請で中止されたという。 呉委員長は去秋の第16回党大会で中国共産党ナンバー2の政治局常務委員に就任したばかり。金日成時代には、中朝両国の指導部が交代した場合、早期に新しい顔ぶれを紹介し合うのが恒例だった。その呉委員長は9月上旬に先に韓国、日本を訪問したため、延期要請の背景には、沈論文があったとの見方が広がった。 (注4)「東北アジアの安全を保つ当面の急務」「世界経済と政治」誌 中国社会科学院研究所、2003年9月号
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