北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.11.20) 連載(3) 第7章 関係を不断に発展させる 核実験を予測 中国の学者による北朝鮮分析で、北朝鮮が核実験を行う約一カ月前に実験を予測する論文が掲載された(注3)。筆者の上海の復旦大学国際問題研究院の沈丁立・副院長は、軍事専門家として名高い。 沈は論文の中で「北朝鮮が核実験を行うか否かは、明らかに北朝鮮の利益に立って利害損得を考えるのであって、先ず最初に他国の利益に立つことはない」と指摘している。 そのうえで、米国が北朝鮮への攻撃を思いとどまる理由として、北朝鮮の核抑止力の役割、北朝鮮の通常兵器による抑止、同盟国である韓国と日本の反対、中露等の国の反対、イラク情勢、イランの核による挑戦及びイスラエル・レバノン情勢により、米国が同時に牽制を受けていること、などを挙げた。 さらに核実験後の中朝関係について北朝鮮は、「国際社会による限定的な制裁。限定的な対北朝鮮制裁を中国が受入れ、それに参加するよう強制すること。米国による東アジア同盟国との軍事協力の強化促進。北東アジアの安全保障情勢の更なる複雑化の招来」を予想しているが、「北朝鮮の国家利益が対中関係より高いと北朝鮮が考えれば」核実験に踏み切ると判断していた。 伝統的中朝関係よりも、自国の安全を優先するだろうというわけだ。 一方で中国が取れる対応としては「北朝鮮に対し過度に圧力を加えることはあり得ない。われわれは、北朝鮮がその根本的利益の実現を妨げることができないのと同時に、わが国の根本的利益を損なうこともできない」とした。 さらにこの論文は、北朝鮮が核開発を進めてきた過去12年間、中国の対北朝鮮制止工作は大体において失敗してきたと厳しく評価。中国が北朝鮮を「体制変化」まで追いつめることはできないからだと説明している。確かに北朝鮮の核実験後の中国の動きは、沈教授の指摘にほぼ沿った形で動いてきた。 (注3)青年参考(中国紙)、2006年9月5日付
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