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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.11.18)

 

連載(1)
第7章 関係を不断に発展させる

 

普通の関係か、特殊な関係か

 

    中国は、北朝鮮との関係を放置している訳ではない。時代に合わせて見直し、それを慎重に、ゆっくりと実行に移している。それゆえ、北朝鮮は中国から見放されるのではないかとのおそれを抱き、中国に反旗を翻せない。その具体的事例を挙げてみる。

 

    「中国と北朝鮮の関係は、外部で持たれているイメージとは違い、普通の二国間関係だ」――2007年6月、韓国を訪問した中国人民外交学会の楊文昌会長が韓国のマスコミに対してこう発言、大きく報道されたことがある(注1)。この学会は故周恩来元首相が設立した中国外務省傘下の組織で、楊会長は外務省の元次官である。

 

    どうして普通の二国間関係なのか、楊会長は具体的には言及してないが、この短い発言は、中国でも少なからぬ反響を巻き起こした。同じ6月には、香港のフェニックステレビの人気討論番組、時事弁論会がこの発言をテーマに「中朝は普通の関係か」と題した3人の学識経験者の討論を放送した。これには正直、驚いた。

 

    これまで中国の学者が何回か中朝関係の見直しを求める論文を発表しているが、中国当局に処罰され、論文を掲載した雑誌が停刊の憂き目に遭ったこともある。もちろん、テレビ番組が両国関係について正面から取りあげるのを見たのは初めてだった。

 

    フェニックステレビは中国政府寄りとして知られ、中国本土で広く放送されている。中国政府が、北朝鮮との将来の関係見直しに向けた世論形成のため、手を打ち始めたのかもしれない――そんな印象さえ抱いた。

 

 

(注1)朝鮮日報(韓国紙)、2007年6月8日