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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.11.13)

 

連載(19)
第6章 国際世論を味方にする

 

中国を裏切らない

 

    中国共産党に近く、中朝関係に詳しい北京の専門家の一人は「中国が北朝鮮との関係を普通のものにしたいと考えているのは事実だ」と指摘する。「中国が北朝鮮に影響力を発揮すれば、それだけ責任も負う。今の中国には負担が大きすぎるし、やる必要もない。中米関係が良好なら、北朝鮮も中国との関係を絶対に切らない。あせる必要はない」と、北朝鮮問題に消極的になった中国の事情を解説した。

 

    2000年6月15日の第1回南北首脳会談の直前、金正日は電撃的に中国を訪れた。首脳会談について説明し、アドバイスを受けたとされている。このため10月上旬の第2回南北首脳会談の後に訪中するとみられていたが、2008年になってもなかなか実現しなかった。

 

    金正日は2008年1月30日、中国の胡錦濤国家主席の特使として北朝鮮を訪問した王家瑞・中国共産党対外連絡部長と会談した。

 

    31日の中国国営新華社通信によると、王部長が「成し遂げられるべき進展が遅れている」と不満を表明したのに対し金正日は、「朝中友好は、両党と両国の過去の指導者が残した貴重な財産だ。われわれが中国を裏切ったり、信義を忘れたりすることなどあろうか」と述べたという。金正日がこれほどストレートに中国側に約束するのは異例なことである。

 

    さらに金正日は「北京五輪の円満な成功を祈っている」とも語った。ミサイル、核実験、国連の制裁決議と緊張する一方だった中国との関係を修復したいとの思いがにじみ出ていた。核実験、ミサイル問題でも国際世論の動向を見極め、中国は北朝鮮に巧みに圧力をかけた。北朝鮮は、その後、再実験や核カードをちらつかせることはほとんどなくなった。2008年6月には、北朝鮮は核計画を6カ国協議の議長国中国に申告し、米国は、北朝鮮を「テロ支援国家」リストから外した。中国の粘り勝ちといえよう。