北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.11.13) 連載(17) 第6章 国際世論を味方にする 外相が事態収拾 状況の好転を受けて、中国の楊潔チ・新外相が訪朝したのは2007年7月3日。10日ほど前の6月21日にはヒル米国務次官補が電撃訪朝したばかりだった。楊外相は当初7月下旬の訪朝を予定していたが、米国側の動きに敏感に反応し、急きょ前倒しにしたとされる。 楊は米国畑で、北朝鮮とは縁がない。金正日との会談が実現したが、中国の要人が総書記と会うのは2006年10月の唐国務委員以来。2003年以降、毎年2~3人の中国要人が訪朝していたのとは大きな様変わりだった。 会談では楊外相が胡国家主席からの親書を伝え、6カ国協議プロセスの着実な進展を各国に求めたのに対し、金正日は「朝鮮半島で幾らかの緩和の兆しが見られる」と発言した。この時、中国・新華社は楊外相と金正日が親しげに握手している写真を配信している。中朝関係の改善をアピールする中国側のそれとない演出だったようだ。 中国はこれまで米朝間の対話を公の場で奨励し、歩調を合わせて北朝鮮の説得に当たってきたものの、最近は対話を仲介するなどの具体的な協力はしていない。まるで予想を超えた関係改善のペースを喜んでいないかのようだ。 この点について、米テレビの番組に出演した6カ国協議の米国の主席代表のヒル国務次官補は「中国は米国のために動いてくれるか」と聞かれ「いや、中国はわれわれが共通の利害を持っており、共通の問題を解決しなくてはならないと理解している」と述べ、必ずしも協力的ではないことをにじませたことがある(注10)。 (注10)米国公共放送(PBS)とのインタビュー、2007年7月23日
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