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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.11.12)

 

連載(16)
第6章 国際世論を味方にする

 

ベルリンでの急展開

 

    金融制裁をめぐって6カ国協議が暗礁に乗り上げていた2007年1月16日、思わぬ場所で糸口が作られた。ベルリンにある、いかめしい造りの米国大使館で、ヒル米国務省次官補と、北朝鮮の金桂冠外務次官が会い、6時間以上にわたって話し合ったのだ。両首席代表の会談は前年12月に北京で開かれた6カ国協議以来となる。2国間協議が6カ国協議が行われている北京以外で行われるのは異例だった。北朝鮮側がベルリンで会議を要望したといい、中国外しとの見方もあった。

 

    この場で2人は、北朝鮮・寧辺にある核施設の稼働停止・封印など「初期段階措置」の履行過程で米国のテロ支援国家リスト(注9)からの指定解除に向けた作業を始め、次の「無能力化」の段階で「完全にテロ国家リストから削除する」ことで合意したとも伝えられる。

 

    この会談を機会に、こじれた協議は、糸がほぐれるように進んでいく。米国は2007年3月19日、米国のグレーザー財務次官補代理(テロ資金・金融犯罪担当)がバンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されている北朝鮮関連口座の資金を返還することで北朝鮮と合意したと発表した。

 

    これを受けて2月13日には6カ国協議で核施設停止をうたった共同文書採択され、10月3日には6カ国協議で、年内核施設無力化、核申告の合意文書発表と、北朝鮮の核放棄に向けた具体的な流れが見えてきた。

 

 

(注9)アメリカ国務省が毎年発表している国際テロ年次報告書で指定される。2008年は北朝鮮、イラン、

         シリア、キューバ、スーダンの5カ国が指定された。米国は、北朝鮮は大韓航空機爆破事件のあった

         1987年以降、テロ行為に関与していないとしている。2003年版から、米国は日本人拉致事件に言及

         している。