北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.11.11) 連載(13) 第6章 国際世論を味方にする 不信の連鎖 核実験に強い反発を示した中国は、ようやく事態の収拾に動き出す。唐家璇国務委員(外交担当)を特使に選び、関係国に送り出した。唐はまずブッシュ大統領と会談、その足で平壌に飛んだ。丸1日平壌で待たされた唐は、10月19日午前、金正日とテーブルを挟んで向かい合っていた。久しぶりに訪朝した中国の高官だったが、不思議なことに同氏の北朝鮮到着に関する北朝鮮の報道は、訪朝目的に全く触れない素気ない内容だった。 会談で金正日は、米国などの対応次第では再度の核実験実施を辞さない姿勢を示したものの、「現時点で核実験を実施する考えや計画はない」と、事態の悪化を避ける考えを示した。 中国側はほっとしただろう。この時、両国の慣例となっている関係者全員による記念写真が撮影されている。満面に笑顔を見せる唐に対し、隣に座った総書記は硬い表情だった。会談も冷たい雰囲気だったと思われる。 中国は6カ国協議の場で繰り返し「朝鮮半島の非核化」を主張してきたが、本当の願いは「半島の安定」だ。核を保有した北朝鮮にこれ以上関与した場合、北朝鮮も反発するうえ、中国も批判にさらされ、2008年の北京五輪にも悪影響が出ると判断したのだろう。 |