北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~ 五味洋治 (2008.10.31) 連載(4) 第6章 国際世論を味方にする ごね役となだめ役 中朝関係、言い換えれば中国が北朝鮮にどれだけの影響力を与えられるかは、北朝鮮問題が国際問題となるたびに注目の的となる。最近では、2002年10月に表面化した北朝鮮の第2次核問題が、再び中朝関係にスポットライトを当てた。同月ジェームズ・ケリー米国務次官補が平壌を訪問し、北朝鮮側に、核開発を目的として「高濃縮ウラン」を製造しているとの疑惑を突きつけた。 この時の北朝鮮側の発言は、明確でない部分が多いが、米国側は、少なくとも北朝鮮側が疑惑を認めたと判断した。核施設の凍結などを盛り込んだ1994年の米朝枠組み合意で平静を取り戻していた米朝間が再びあわただしくなった。枠組み合意に基づいて提供していた年間重油50万トンを米国が停止した。北朝鮮内に建設が進んでいた2基の軽水炉型原子力発電所の工事も中止に追い込まれた。 米国に対抗し北朝鮮は、02年末に核施設の再稼働を宣言。黒鉛減速炉などから国際原子力機関(IAEA)の封印を除去した。IAEA査察官を追放し、翌03年にはNPT(核拡散防止条約)からの脱退を表明し、核兵器開発への態勢を整えた。 見かねた中国が仲介役に名乗りを上げた。同じ年の4月、米朝両国を北京に招き、米中朝の3カ国協議を開いた。この時、私は北京に駐在していた。おおらかな風貌(ふうぼう)のケリーが常に緊張した面持ちで、報道陣にいっさい口を開かなかったのが印象に残っている。 同年8月、協議は日本やロシア、韓国が入った6カ国協議に発展した。日本が入ったことで、日本人拉致問題の行方も絡んで関心が集まり、取材陣は日本と韓国を中心に総勢500人近くにふくれあがった。 |