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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.10.28)

 

連載(20)
第5章 裏切られても関係を守る


99年の関係復活

 

    1995年5月、金正日総書記が突然、万永祥北朝鮮駐在中国大使と会見、中国の改革政策を支持すると共に北朝鮮式社会主義体制を尊重するよう求め、さらに中朝両国の伝統的友好関係の復活を訴えた。両国の関係改善のシグナルだった。6月3日から7日まで、金正日に次ぐナンバー2の金永南・最高人民会議常任委員会委員長が、洪成南首相、白南淳外相、崔泰福最高人民会議議長、金鎰・国防委員会副委員長、人民武力相等を率いて公式に訪中した。これは北朝鮮首脳としては、91年の金日成以来のことだった。

 

    李鵬全国人民代表大会委員長との会談で中国側は「独立・自主の外交政策を実施し、中国の実情にあった発展の道を歩んでいることと、朝鮮半島の平和と安定、自主的な平和統一を実現するための朝鮮人民の闘争に全面的な支持を表した」。これに対し、北朝鮮側は「中国共産党の領導の下で中国人民が中国の特色を持つ社会主義を建設する道の上で巨大な成果を挙げているのを喜ばしく思っている」と語った。

 

    4日午後に行われた江沢民主席と金永南委員長との会談で、江主席が「われわれは自主平和統一を実現させる南北双方の立場を支持し、南北朝鮮関係を改善し、朝鮮が米国、日本、EUの西側諸国との関係を改善し、最終的に関係正常化を実現することを支持する」と発言した、と中国中央テレビは伝えた。だが、朝鮮中央通信は、この発言を紹介しなかった。双方の考え方が違っていたと推測される。

 

    この会談で、朱鎔基首相は15万トンの食糧と40万トンのコークスの無償援助を表明。江沢民主席は改革の必要を説き、経済力・国防力・国民の団結という三点をあげて総合的国力の必要性を強調した。新たな中朝関係の幕開けだった。これに先立ち中国は、1996年には3万トンの食糧、97年には200万元の物資の援助と8万トンの原油の無償援助、98年には10万トンの食糧を援助しており、これらの中国の〝誠意〟が効果を示した可能性もある(注30)


 

(注30)「中国与朝鮮半島国家関係文件資料匯編(1991~2006)」:(上)、13ページ、2006年