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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.10.27)

 

連載(17)
第5章 裏切られても関係を守る

 

ソ連と中国の対応の違い

 

    当時の中国の対北朝鮮政策について盧大統領は、「北朝鮮に対する中国の外交哲学は、基本的にソ連とは違っていた。中国の指導者層は長い間金日成と会って、親しい関係を作り、援助してきた関係だったが、ソ連ではゴルバチョフ以後は、会うことが減り、義理を感じていなかった」と回想している(注26)。「過去には中国は韓国との関係改善に必要性を感じていなかったわが国がソ連と国交正常化を果たしたことが刺激剤となった」「中国が正常化の日程を早めるよう頼んだ」と孫柱煥・元韓国外相も証言している。

 

    91年10月に訪中した金日成は江沢民総書記から、中国が近く韓国と国交正常化を行うと伝えられた。金日成は「中国のやり方は理解できる。それが現在の国際平和に符合している」と述べた後「しかし」と切り出した。「米国が38度線を越えて攻め込んでくるかもしれない。われわれは核兵器が必要だ。中国が技術協力してほしい」と再三要請した。

 

    これに対して楊尚昆国家主席は、核技術は「他国に移転しない、協力しない、拡散しない」との条件を明確に伝え、金日成に核開発を放棄するように進言した。この時金日成に会った鄧小平も「経済に集中したほうがいい。南部(韓国)と平和の競争を展開するのが上策だ」と説得した(注27)

 

 

(注26)同右、105ページ、朝鮮日報、2007年
(注27)香港誌「鏡報」:1991年12月号