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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~

五味洋治

(2008.10.24)

 

連載(16)
第5章 裏切られても関係を守る

 

豊臣秀吉を引き合いに

 

    韓国の盧泰愚大統領も、中国との国交正常化に強い関心を抱いていた。実現すれば、これまで発展が遅れていた中国に近い韓国の西海岸の都市が貿易で活気を帯び、韓国独特の地域対立感情の解消につながると考えたためだった。貿易高も30億ドルを超え、台湾を越えていた。

 

    1991年11月12日、第3回APEC総会に参加するため、ソウルを訪問した銭外相に対し、盧大統領は、文禄の役(1592~93年)、慶長の役(1597~98年)、日本の侵略を受けた朝鮮が、現在の中国である明攻撃の道を譲らなかったことを紹介し、中韓の長い歴史を引き合いに出し、半世紀近い断交を終わらせるよう求めた(注25)

 

    しかし、中国は中韓関係改善よりも、北朝鮮が米国、日本との関係を改善することを優先するべきだとの姿勢だった。1992年4月13日、北京で開かれた国際会議に参加していた韓国の李相玉外相は、銭其琛と両国の国交樹立に向けて具体的な準備に入ることを協議した。銭の回想によれば、韓国側が急いでおり、銭は、「水到渠成」(時期が熟せば事が自然に成る)と答えたとしている。

 


(注25)「盧泰愚肉声回顧録」:82ページ、朝鮮日報、2007年