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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.9.29)

 

連載(6)
第4章 個人的関係でつなぐ

 

兄弟党に干渉しない

 

    中国は北朝鮮をはじめとする社会主義国に対し、直接干渉しない姿勢を早くから立てていた。ソ連との国際共産主義運動をめぐる路線争いで双方が傷ついた教訓からだった。

 

    これに関連する鄧小平の言葉がある。1980年5月31日、鄧は中央の指導的幹部との談話の中で「兄弟党の関係を処理する重要原則」に触れている。「ある党が他国の兄弟党の是非を論ずる場合にはとかくできあいの公式や型にはまった方式を根拠にしがちだ」と指摘し、「それではうまくいかないことは事実が立証している」と述べている。さらに中国も中国式に発展してきたのだと説明し、「各国の党の国内での方針、路線が正しいかどうかは、その国の党と人民が判断すべきことだ」と繰り返している(注4)。

 

    1981年4月18日、金日成に、毛沢東について語っている。「毛沢東思想について知らない人が多いのは問題だ。多くの人が文化大革命、4人組だけみている。毛沢東を評価するなら、功績が第一であり、間違いは二の次だ。中国人の貴重な財産であり、堅持していく」。

 

    1956年9月に開かれた党第8期全国代表大会(8全大会)の中で、鄧は党の規約改正に関する報告を行い「個人崇拝は長い歴史を持つ一種の社会現象であって、この現象がわれわれの党生活や社会生活の中に反映されないはずはない」と述べ、婉曲に個人崇拝の危険性を指摘した(注5)。

 

    毛沢東に関連しては、その後イタリアの記者から天安門に掛けられた毛主席の大きな画像をいつまで残すのかと聞かれ「いつまでも残しておきます。これまでは毛主席の像が多すぎ、至る所に掛けてありました。これでは厳粛さを欠き、毛主席に対する尊敬の気持ちを表すことができません」(注6)。

 

    独裁にも反対している。チェコスロバキア大統領との談話にこうある。「私の見解としては、ある党、ある国の望みを一人や二人に託すのは健全ではない。もしそうしたら、その人に何か変動があればすぐさま不安定を招く」(注7)。

 

 

(注4)中共中央文献研究室編『鄧小平文選 1975~82』:423~425ページ、東方書店、1983年
(注5)席宣、金春明著『文化大革命簡史』:51ページ、中央公論、1998年
(注6)『鄧小平文選 1975~1982』:459~472ページ、東方書店、1983年 
(注7)『鄧小平文選 1982~1992』:278ページ、テンブックス、1995年