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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味洋治
(2008.9.18)

 

連載(12
第3章 資源を押さえる

 

東北開発

 

    中国は2007年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で採択した第11次5カ年計画を機に、北朝鮮経済の自立と中朝相互の利益獲得を目指した新たな支援の枠組みを確立しようとしている。重要政策を示す国務院弁公室文書の中の、36号文書(2005年6月)は、北朝鮮資源開発を東北振興の一環として位置づけている。

 

    中国の北朝鮮向け投資の狙いは①北朝鮮体制の崩壊による東北地域の不安定化を避け、東北三省の開発に北朝鮮を効果的に利用する、②北朝鮮の不安定化によるアメリカの影響力増大の可能性を防ぐ、③経済を通じて北朝鮮を直接コントロールすること、などだろう。

 

    中国の進出に焦る韓国は、北朝鮮に共同資源開発を持ちかけた。今年(2008年)7月5日に開城で開いた「軽工業・地下資源協力実務協議」で、韓国は衣服、履物、せっけんの生産に必要な軽工業原材料8000万ドル(97億6000万円)相当を北朝鮮に有償提供し、北朝鮮側が見返りとして地下資源生産物や開発権などを提供することで合意に達した。

 

    地下資源の開発は、北朝鮮咸鏡南道の鉱山3カ所が対象となっており、北朝鮮側は韓国側に3鉱山の資料を渡し、南北の共同調査団は2007年7月末、9月初旬、10月の3回にわたって現地を調べた。2008年には国内企業に、その結果を説明する予定だ。

 

    李在禎・韓国統一相はこの合意を受け「事業は必ずしもスムーズにいかないだろう」としつつも、「北朝鮮の地下資源はこれまで中国が独占的に行ってきた。われわれ(韓国)が投資するのには重要な意味がある」と語った。北朝鮮の資源は、各国が奪い合いの状況を見せている。

 

    一方で、埋蔵量は少なく、質も高くないとする懐疑的な見方もある。たとえば、2004年9月にドイツの地質学者と天然資源連邦庁の関係者が北朝鮮の鉱山を実際に訪問して、北朝鮮の鉱業と天然資源の実態を調べ、報告書にまとめた。

 

    それによれば、北朝鮮の鉱物生産と製造企業に対する情報は秘密維持のために公開されておらず、北朝鮮当局の発表資料は実際の生産量ではなく、生産計画量。さらに質も落ちるという。

 

    同報告書は2003年現在の北朝鮮国内のマグネサイト生産量は100万トン、鉄鉱石は440万トン、黒鉛は2万5000トン程度とし、設備とエネルギーが不足しているため、多くの炭鉱夫が採掘に当たり、生産量が安定しないため、生産コストはむしろかさむ可能性があると指摘している(注6)。

 

 

(注6)「黒龍江新聞」(中国):2006年9月22日