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北朝鮮は、なぜ中国に逆らえないのか~愛憎の中朝60年~
五味 洋治
(2008.9.2)

 

連載(6)

第2章 経済と油で支配する

 

貿易の6割を占める丹東

 

    延辺と並ぶ中朝貿易の中心は中国遼寧省丹東市である。北朝鮮に接した中国最大の国境都市で、2004年の対北朝鮮貿易総額は3億ドル(約342億円)で、毎年10%ずつ伸びている。北朝鮮と丹東を結ぶ橋を見ていると、北朝鮮から木材やくず鉄が運び込まれているのが分かる。

 

    国境に面したビルには中朝貿易を行う小さな貿易会社が入居している。その幾つかの会社で話を聞いたことがある。北朝鮮からは砂袋に入れられた鉱物資源らしきものが持ち込まれる。中国側がそれを鑑定して、価値があると認めると買い付けを行う。北朝鮮側には、資源を測定する器械がないためだという。また、素性の怪しい北朝鮮の骨董品も多数持ち込まれ、北京や韓国に売られていく。

 

    陳鉄新・丹東市長が全国人民代表大会が行われていた北京で記者会見し、丹東では中朝間の物流の6割を占め、前年比で16%増となった。ほとんどは食料品だった、と語ったことがある(注6)。同市の発展計画委員会は北朝鮮との関係を強化する報告書をまとめている。それによれば、両国間を流れる鴨緑江に新たな橋の建設、対北朝鮮自由貿易地帯設立の検討、中国の援助による北朝鮮側での鉄道整備などが含まれている。

 

    丹東税関の統計によると、05年の丹東経由の対北朝鮮貿易額は、前年比21.7%増の8億4000万ドルにのぼった。うち、輸出が48.8%増の6億4000万ドル、輸入が24%減の1億9000万ドルだった。

 

    商品別では、輸出品で最も多かったのは原油(1億9000万ドル)、機械・電気・部品(1億ドル)、農産物(7605万ドル)。輸入品では衣類・付属品(6097万ドル)、水産物(5228万ドル)だった(注7)。

 

    陳鉄新市長は、観光を中心としたサービス産業の育成に力を入れている。2004年冬、陳市長に話を聞く機会があった。外国メデイアが丹東市長にインタビューするのは初めてだという。会見場には、地元のメディアの記者が10人以上集まり、私の取材の様子を興味深く見ていた。

 

    市長は「鴨緑江の遊覧船船着き場を改修し、欧州風の高級船も投入したい」と表明した。さらに「丹東空港~日本間に、ぜひ直航旅客路線を新設したい」と述べ、将来的には日本との関係強化を図る考えを示した。北朝鮮だけに頼っていては発展できないという危機感を感じた。

 

 

(注6)「共同通信」:2007年3月6日 
(注7)「新華網」:2007年1月1日