中国は、北朝鮮経済の自立と中朝相互の利益獲得を目指した新たな支援の枠組みを確立しようとしている。それをある中国政府関係者は「緊急輸血(経済支援)から、みずから造血(経済自立)させる」と表現した。一方的に与えるだけではなく、工場などを共同で設立し、自力で生産し、金にできるようなノウハウを与えることだ。2005年10月の中朝首脳会談を通じ中国は5年間、中央政府レベルで総額20億ドルの支援プロジェクトを北朝鮮に提示したとも伝えられる。
中国側の方針を示す発言がある。金正日総書記と温家宝首相は2004年4月2日に北京で行われた会談で、経済協力に関する意見を交換した。温首相は「中国政府は、中国企業が北朝鮮側と多様な形態で互恵的な協力を行うことを奨励する」と表明。さらに温首相は、2006年1月、訪中した金総書記に対し、今後の経済関係に関して「中朝の貿易は両国関係の重要な要素だ」と指摘、「政府引導、企業参与、市場運作(政府が主導し、市場原理に基づいて北朝鮮内での中国企業を運営させる)」と発言している。
この「市場運作」の四文字が、北京の外交筋の間で話題となった。この表現は、中国の経済政策として広く使われる言葉だが、なぜ北朝鮮にこの言葉を使ったのか。北京にある日本大使館もこの発言に注目し、関係筋に情報収集を行ったほどだった。
経済に関連しては北朝鮮の核実験をめぐる中朝間の対立が収まった2007年7月3日に訪朝した中国の楊潔チ・新外相も興味深い発言をしている。
楊外相は訪朝期間中、核実験について北朝鮮を非難する発言はしていない。その代わり金英逸首相との会談で「われわれは朝鮮側と政府が導き、民間が参加し、市場が運営するという原則に基づき、互利互恵、共同発展の精神にのっとり実務協力を広げる」と述べた。それは、温首相がかつて言及した「市場主義原則」と同じ内容だった。北朝鮮との「血潮で結んだ関係」は過去のものとあらためて宣言したようなものだ。